Summer Love
「絵を描く原動力。それはな、結局のところ、「他人に愛や幸せの考えを分かち合う心」なのだよ。修青年」
日向は、スケッチブックを翳す。
そこに写っていたのは、ーーー零だった。
それは、白衣の軍服ーーーシンデレラに出てきそうな王子そのもの。
「我はね、零くんを見ると幸せな気持ちになる。その気持ちを絵にして変えたら、人生が変わったのだよ。賞をたくさん取れたからだね。だが、純くんが零くんの好きな人だと知って思ったのだよ。仲良くなったほうが、もし私がフラれてしまったとしても、零くんのそばにいられるとね。奪いはしない。ただ、そばにいるだけだがね」
「ずる賢いな。でも、いいのか?俺に、好きな人を教えても?」
「どうせ、君も今さっきその事を考えていたのだろう?」
すべてを見透かされた。
俺はふと、手を止める。
「やはりまだまだ、若造だな。修青年。我の観察力は計り知れないのだよ?見限らないでくれたまえ。それに、私はそこまで性悪女ではないから、修羅場になることはほとんどないので、心配しないでくれたまえ」
「………立派なご身分だな。百合。調子を抜かして、面倒事を俺に押し付けないように気をつけろよ?」
丁度、タイマーがなった。
これで少しは休憩できそうだ。
長々と百合が話していたおかげで、少しは作業は進むことが出来た。
無心に絵を描いていた、百合とすれ違う時。
「純くんは、海辺にいるようだよ。歓迎してあげたまえ」
一言添えられた。
俺はそんな予言に動かされるように、足を向ける。
*