Summer Love

「絵を描く原動力。それはな、結局のところ、「他人に愛や幸せの考えを分かち合う心」なのだよ。修青年」



日向は、スケッチブックを翳す。




そこに写っていたのは、ーーー零だった。




それは、白衣の軍服ーーーシンデレラに出てきそうな王子そのもの。



「我はね、零くんを見ると幸せな気持ちになる。その気持ちを絵にして変えたら、人生が変わったのだよ。賞をたくさん取れたからだね。だが、純くんが零くんの好きな人だと知って思ったのだよ。仲良くなったほうが、もし私がフラれてしまったとしても、零くんのそばにいられるとね。奪いはしない。ただ、そばにいるだけだがね」



「ずる賢いな。でも、いいのか?俺に、好きな人を教えても?」



「どうせ、君も今さっきその事を考えていたのだろう?」



すべてを見透かされた。



俺はふと、手を止める。



「やはりまだまだ、若造だな。修青年。我の観察力は計り知れないのだよ?見限らないでくれたまえ。それに、私はそこまで性悪女ではないから、修羅場になることはほとんどないので、心配しないでくれたまえ」




「………立派なご身分だな。百合。調子を抜かして、面倒事を俺に押し付けないように気をつけろよ?」




丁度、タイマーがなった。




これで少しは休憩できそうだ。




長々と百合が話していたおかげで、少しは作業は進むことが出来た。




無心に絵を描いていた、百合とすれ違う時。



「純くんは、海辺にいるようだよ。歓迎してあげたまえ」



一言添えられた。




俺はそんな予言に動かされるように、足を向ける。





< 21 / 123 >

この作品をシェア

pagetop