Summer Love
純奈が消えた!? 修先生視点
自室に戻っていた昼下がり。
ゴンゴンと扉を慌てて叩いてくる何者かがいた。
煩いな………寝かせてくれよ………。
こっちは人手不足でもあり力仕事10時間労働させられた故に、クタクタなのに。
上司である母さんだったら、ヤバいなと思い眠い目をこすりながら扉を開いた。
「起きてくれ!!純奈が………消えたみたいなんだよ!!僕のフィアンセがーーーー遠い何処かに!!」
フィアンセ?
あぁ………零か………って、え!?
「……お前……何でここにまた居るんだ?帰ったんじゃなかったのか……?」
すっかり目を覚ましてしまいま、目を凝らすと百合も後ろに。
「修青年、もう2日も帰ってきてないみたいんだよ!!何処でどうしてるのか、純君の行方が知れないのだよ!!もう……どうしたらいいか……っ!!」
おいおい、状況がつかめない………。
「どうして、この2日間俺に黙っていたんだ!!馬鹿を言え!!お前ら、仲間じゃなかったのか!!」
「だけど……純奈が………メールで「修先生にだけは秘密で。旅に出ます」と釘打ちされたから………どうする事も出来なかったんだよ。百合ちゃんのメールボックスに書いてあるって事は………考えがあってのことだと僕は思ったからこそ………頼れなかったんだ」
「我も同じ意見だよ」
2人揃って、なんなんだ………あー、疲れる。
「んで?どうして、今になって?何かきっかけがあるんだろ?」
「ビンゴだよ。修青年!!実は、友くんがその事態を皆と共有した時に、一目散に彼女を探したのさ」
「なんだか嫌な予感が………」
「その予感は的中して……友香ちゃんもいなくなってしまったってわけみたいで」
頭が痛くなってきた。
次から次へ、一体絶対災難がありすぎる。
「ちょっと、俺は、よりたいところがある。お前らは余計なことすんなよ」
そう釘を差して、俺はスイートルームへ向かう。
チャイムを鳴らして、出てきたのは花子さん。
「………」
扉を開いてくれたが、やはり反応は暗い。
「何があったんですか?」
「……知っているくせに……。出ていったのよ。純奈が」
花子さんの顔に、深い影が落ちてゆく。
「どうして追いかけなかったんですか?」
「………あの子のためよ」
「俺と純奈を引き離す為ーーー陰謀ってやつですか?」
「半分本当でーーー半分嘘だわ」
この期に及んで、この花子さんは何故か被害者面をしているところが鼻につく。
正直一体、俺が何をしでかしてここまで花子さんに警戒されているんだろう。
「正直に、どうしてこうなったのか現状を言ってくれませんか?」
「………どうしてそう知りたいのか、理由を教えてちょうだい」
面倒くさいな………。
「純奈の事をよく知りたいんです」
これは本心でもあり、教師としても実に興味深い生徒だったからというのもある。
だが、一番言いたいのはーーー。
「教師っていうのは、生徒の命を一番に扱う大切な仕事だから、全力で彼女を守りたいって心の底から思うんです」
花子さんはずっと俺を見てーーー。
「すべて話すわ。純奈が出ていった事を。だから、関係者皆集めて」
んで………集めたのは良いもののーーー。
「やっぱり、友香は来なかったのか………」
「僕は心配だな。友香くんは女性だし………何かあったらと思うと………」
「我もだ………」
四人一緒にエントランスに集まったのだが暗い顔。
それでもかというくらいに、隼斗は手を叩き俺を指さした。
「あっ!!修先生確か、友香との連絡先修学旅行の連絡用に持ってたよな?直接連絡したらなにか分かるんじゃね?」
「おいおい………ちょっと待ってくれよ。俺と友香は生徒なんだぞ?迂闊に連絡ーーーー」
そんな事を言っている場合なのか?
そうだ、俺は「教師」。
生徒を守るために働いてる、使命を背負ってる。
仕方ない。
「友香、出てくれ。頼む!!俺が修先生の事を忘れさせるからさ!!」
ずっと通話ボタンが鳴りっぱなしで、繋がる気配がない。
弱ったな……どうしたら……。