敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 部屋に入った瞬間だ。
「香澄さん……っ」
 香澄はぎゅっと神代に抱き締められた。

 香澄は神代に会うことができなくて本当に寂しかった。
 誰かに会えないことでこんなに寂しい思いをしたことはなかっただろう。

「佳祐さん……っ」
「香澄さん、本当に大事なんです。愛しています……」

 神代のこんなこらえきれない声も聞いたことがなく、背がしなりそうなほどに抱き締められて嬉しいと感じることも初めての経験だった。

 神代は香澄を抱き上げて寝室に連れてゆく。
 香澄もそこが寝室の扉だということはもう分かっていた。

「私も佳祐さんのことが大好きです! 本当に好きなんです。もう、離さないで……!」
「離さない。絶対に離すものか。俺の、俺のだ……っ、香澄……」

 いつもは丁寧な神代の口調が無造作になっているのにも胸が高なってしまった。
(ざっくばらんな話し方の佳祐さんも素敵すぎる!)

 ベッドの上にそっと降ろされると、お互いの唇がどうしようもなく近づいて、最初から激しいキスになった。

 お互いの欲しいという気持ちを隠そうともしないキスだ。何度も唇を重ね合わせて、神代が香澄の下唇を甘く吸うと香澄から声にならない声が漏れる。

 濡れた舌すら絡まりあって、どちらがどちらともなく溶け合うようにキスをする。
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