キラキラ王子様は最強女子にご執心らしい。
その時、ブーブーとスマホが震えた。


だ、誰だろう……今騒がしいし、出れないな……。

申し訳ない気持ちになりながら、電話を切ってしまった。


「玲奈さん!取れましたよ」

「え!ま、マジですか!?」

「はい」


差し出されたクマのぬいぐるみ。


「わぁ……!す、すごいです!」

「ふふっ、こう見えてクレーンゲーム、得意なんです」

「そうなんですね!」

「はい、小さい頃に好きな子がゲーセンでいっぱい景品を取るのが夢って言っていたので、たくさん練習しました」

「へぇ……!その子は幸せ者ですね!」


なんだか智月さん、とっても幸せそうで切ない顔してる。


「あはは、そうですね。そのぬいぐるみは差し上げます」

「え!いいんですか?」

「もちろんです。私が持っていても仕方ないですし」

「あはは、ありがとうございます!大切にします!」


嬉しいなぁ……。


そういえば……



『れ、玲奈さんはこのくまのぬいぐるみが欲しいんですか?』

『うん、でもお金ないし我慢する』



小さい頃、男の子とそんな会話をした気がする。なんだか、シチュエーションが似てるなぁ。


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