キラキラ王子様は最強女子にご執心らしい。

担がれた私は、屋上まで運ばれたのだった。

狭いベンチに2人で座る。異様なまでに近い先輩にまたヒヤヒヤしていた。


「……先輩が急にくるからお弁当とか用意してないんですけど……」

「大丈夫、持って来させたから」

「え?」

「お初にお目にかかります桃宮さん」



目の前から歩いてきたのは、理人様よりちょっと背の高そうな黒髪のイケメン。


「わたくし、理人様の執事をやっております秋川智月(あきがわちづき)と申します。ちなみに3年生です」

「あ、あなたが……!!」


ばっとベンチから立ち上がった。実は私、執事さんとは顔を合わせたことがないのだ。

この方は代々黒瀬グループに使える秋川家の長男らしい。

情報は少しメイド長さんから聞いていたものの、思ってたより仕事もできそう。


「はい、わたくしが秋川です」

「桃宮玲奈です、よろしくお願いします……!」

「はい、桃宮さん」



< 23 / 185 >

この作品をシェア

pagetop