キラキラ王子様は最強女子にご執心らしい。
担がれた私は、屋上まで運ばれたのだった。
狭いベンチに2人で座る。異様なまでに近い先輩にまたヒヤヒヤしていた。
「……先輩が急にくるからお弁当とか用意してないんですけど……」
「大丈夫、持って来させたから」
「え?」
「お初にお目にかかります桃宮さん」
目の前から歩いてきたのは、理人様よりちょっと背の高そうな黒髪のイケメン。
「わたくし、理人様の執事をやっております秋川智月(あきがわちづき)と申します。ちなみに3年生です」
「あ、あなたが……!!」
ばっとベンチから立ち上がった。実は私、執事さんとは顔を合わせたことがないのだ。
この方は代々黒瀬グループに使える秋川家の長男らしい。
情報は少しメイド長さんから聞いていたものの、思ってたより仕事もできそう。
「はい、わたくしが秋川です」
「桃宮玲奈です、よろしくお願いします……!」
「はい、桃宮さん」