キラキラ王子様は最強女子にご執心らしい。
不思議そうな顔をする先輩。そのままの意味だ、たまに起きること。


両親が言うに、私は子供の頃の記憶が一部飛んでいるらしい。頭を打ってしまったことをきっかけに、そうなってしまったんだとか。

その空白の記憶を取り戻そうとすると、気分がよろしくなくなる。

自分で記憶を取り戻そうとして、意識してそうなるわけではなく、“きっかけ”と接触することによってそれは発動されるらしい。

先輩といるのに深い意味なんてないのだろうけど、1人の時に倒れて誰にも見つからないなんてことがなくてよかったと心底安心した。



「……そっか」


辺りをキョロキョロと見渡す。学校の保健室とは思えない、シンプルで高級感のある内装には、見覚えがある。


「あ、あの……ここってもしかして……」

「ん?俺の部屋だけど……」

「ですよね!!失礼しました!!」


バッと布団から出て、そのまま土下座をする。


「主人の布団に潜り込んで申し訳ありませんでした!!」



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