キラキラ王子様は最強女子にご執心らしい。
「……それで、“記憶”は戻ったわけ?」
「……え?き、記憶ですか?なんで瑠美さんがそれを……」
「はぁ……本当に何も憶えていないのね」
「ど、どういうこですか……!?」
「理人のこと、私は微塵も好きじゃないんだから!!こんな冷徹な馬鹿野郎誰が好きになんのよ!」
え……!?す、好きじゃなかったんだ。
今驚くのは間違いなくそこではないけれど、びっくりしてしまった。
じゃあ、なんで好きみたいなフリしてたんだろう……。
「な、なんでそんなフリしてたんですか?」
「アンタを試してたのよ、思い出してんのか、あるいはそれが原因で思い出せるのか。……っていうか、その敬語やめてくれる?」
思い出せるのか試してたって……じゃあ、智月さんとかグルだったってこと!?
「え、えっと……」
「はぁ……もういいわ」
「る、瑠美ちゃん!」
寂しそうな顔をした瑠美さんを見て、ついそう名前を呼んでしまった。
「……!玲、な……」
うるうると瞳を揺らした瑠美ちゃんは、そのまま私にぎゅっと抱きついてきた。
「なんで、アタシのこと忘れてるのよ……!ずっと一緒にいるって、一生親友だって言ってくれたのに……!!」
「えっ……」
そ、そうだったの……?
申し訳ない……きっと、私は理人くんと瑠美ちゃんと関わりがある。
そして、複雑そうな顔をしている智月さんとも。
「ご、ごめんね……」
今、ここで都合よく記憶が戻ってきてくれたらいいのにな……なんて、微かな希望を抱いたけれどそれは無理そうだった。