復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
chapter03 ノッティールカ
それから数週間後の3月上旬──…
「さむっ……」
コツコツと薄暗い夜道を足早に歩きながら、私はぶるっと体を震わせた。
日中はかなり暖かい日があるものの、朝晩の冷え込みは厳しく1日の寒暖差は激しい。
厚手のコートを羽織っているとはいえ、その下はかなり薄手のドレス。寒さが身の奥まで染み込んでくるようで、思わずコートの襟を立たせるとその中に顔を埋めた。
今日は金曜の夜とあってか、この小さな裏通りには思ったよりも人通りが多い。若いサラリーマンやOLが楽しそうに話しながらレストランや居酒屋へと消えて行くのを多く見かける。
そんな彼らを横目で見ながらしばし歩いていると、目的地である雑居ビルが見えてくる。そのビルの下にある黒い置き看板の前までくると、ピタリと歩をとめた。
NOTTILUCA
白いチョークのようなものでそう書かれてある。
『NOTTILUCA』とはイタリア語で 『夜光虫』 という意味。海洋性プランクトンの一種で、波や水しぶきなどの刺激を受けると青白い光を放つらしく、大量発生すると夜の海が青く光り輝いて見える。
今から5年くらい前に一度見たことがあるが、真っ暗な闇に青白く輝く海は幻想的で、波が動くたびにキラキラと波打ち際が輝いてとても綺麗だったのを覚えている。
そんな名前のバーの看板の前でしばし立ち尽くすと、そのすぐ横にある地下へと続く狭い階段をじっと見つめた。階段の一番下には黒いドアが見える。
「さむっ……」
コツコツと薄暗い夜道を足早に歩きながら、私はぶるっと体を震わせた。
日中はかなり暖かい日があるものの、朝晩の冷え込みは厳しく1日の寒暖差は激しい。
厚手のコートを羽織っているとはいえ、その下はかなり薄手のドレス。寒さが身の奥まで染み込んでくるようで、思わずコートの襟を立たせるとその中に顔を埋めた。
今日は金曜の夜とあってか、この小さな裏通りには思ったよりも人通りが多い。若いサラリーマンやOLが楽しそうに話しながらレストランや居酒屋へと消えて行くのを多く見かける。
そんな彼らを横目で見ながらしばし歩いていると、目的地である雑居ビルが見えてくる。そのビルの下にある黒い置き看板の前までくると、ピタリと歩をとめた。
NOTTILUCA
白いチョークのようなものでそう書かれてある。
『NOTTILUCA』とはイタリア語で 『夜光虫』 という意味。海洋性プランクトンの一種で、波や水しぶきなどの刺激を受けると青白い光を放つらしく、大量発生すると夜の海が青く光り輝いて見える。
今から5年くらい前に一度見たことがあるが、真っ暗な闇に青白く輝く海は幻想的で、波が動くたびにキラキラと波打ち際が輝いてとても綺麗だったのを覚えている。
そんな名前のバーの看板の前でしばし立ち尽くすと、そのすぐ横にある地下へと続く狭い階段をじっと見つめた。階段の一番下には黒いドアが見える。