復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「しっかりつかまってろ」

 たくましい首にしがみつくと、彼はしっかりとした足取りでベッドルームへと歩いていく。

 私を横抱きにしたまま彼は器用にベッドルームのスイッチを押した。他の部屋と同じようにとてもシンプルで綺麗に片付いた寝室が、柔らかいダウンライトの光に浮かび上がる。

 中央には大きなキングサイズのベッドが置いてあり、ベッド脇の黒いナイトテーブルには、本が好きだと言っていた通り何冊かの本が重ねて置いてある。

 彼は私をベッドにそっと押し倒すと、すぐさま覆いかぶさってきて再び情熱的なキスを繰り返した。

 堰を切ったように彼の唇や手のひらが私の弱いところを見つけ出しては何度もそこを丁寧に愛撫する。ベッドの軋む音、彼の荒い息遣い、それに私の喘ぎ声が響き渡る。

 息も絶え絶えに彼を見上げると、ランプの柔らかい光が彫りの深い端正な顔に深い陰影を落としていて、とてつもなく色っぽく見える。

 (なんて綺麗な人なんだろう……)

 頬にそっと触れると、彼は顔を傾けて手のひらにキスを落とした。

 彼は身を起こすと、次々と着ているものを剥ぎ取っていく。水泳で鍛えた体が露わになって、そのあまりの美しさに思わず息を呑んだ。

 「ま、待って」

 再び覆いかぶさろうとした彼の腕を慌てて掴んだ。私の言葉にピタリと動きを止めた彼は、私の目を覗き込んだ。

 こうして見ず知らずの男性と一夜を過ごすことに戸惑いがあるわけじゃない。確かにこれは私にとって男性との初めての経験になるけど、別に今までわざわざ大切にとっていたわけじゃない。ただ成り行きでそうなっただけだ。

 それに結愛の為だったら体を張ってでもなんでもする覚悟はある。そもそもその為に私は今夜彼と一緒にここにいるのだ。

 ただ……彼との一夜がこんなにも心揺さぶられるものになるとは想像もしなかった。
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