復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「あら、お聞きになっていませんか?これから東儀社長と一緒にエルシャーホテルで行われるパーティーに出席されるんですよ」

 「パ、パーティー!?あ、あの、私なにも聞いていないんですがっ……!」 

 そんなの初耳で、鏡の中の自分を見ながら慌てて訴えた。すると彼女はニコリと微笑んで、有無を言わせぬ勢いで私を大きな鏡の前に座らせた。

 「ご心配しなくても大丈夫ですよ。東儀様から全てご指示を預かっていますので」

 数名のスタッフがメイク用品やヘアセット用品などの入ったワゴンを引きながらわらわらと寄ってくる。

 「それでは今からヘアセットとメイクをするのでメガネはお取りしますね」

 そう言って彼女は私からメガネを取ると、手早くメイクを落として、マッサージ、ローション、クリームと次々と肌を綺麗に整える。その後大きな目が強調されるような少し派手めな化粧を施した。それからきつく一纏めにしていた髪は下ろされ、ヘアアイロンやスタイリング剤を使って綺麗にアレンジされた。

 「まぁ、とってもお綺麗です!お似合いですよ!」

 女性スタッフは出来上がった私を見て、嬉しそうに手をたたいた。でもそんな彼女とは対照的に、鏡の中の自分を見た私はさーっと血の気が引くのを感じた。

 ドレスも髪型もメイクもとても上品に仕上げてもらったものの、彼と出会ったあの夜と見た目があまりにも似過ぎている。
 
 (こ、これは流石にまずいでしょ……)
  
 鏡の中の自分をまじまじと見つめた。今まではこの地味な格好と黒縁メガネのおかげで私の事に気づいていないようだが、あの夜を彷彿とさせるこの格好はどう考えてもよろしくない。

 「あ、あの、メガネをかけたいんですが……」

 せめてメガネだけでもかけようと、おずおずと鏡の前に置かれたメガネに手を伸ばした。でもスタッフの女性が、素早くそれを私の手から遠ざけた。
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