果実と恋のバスケット
スイーツの魔法
「お母さん、ごめん!友達と長話しちゃってた…!」
「いいのよ、アンズ。アンズはお店のことばかりで、あんまりお友達と遊びに行くこともなかったし…今日ぐらい、ゆっくり友達とおしゃべりしなさい」
お母さんはゆったりと微笑んで、ショーウィンドウで売り切れてしまったケーキを確認している。
今日も人気のスイーツはとっくに売り切れてしまっていて、お母さんはそれを確認してお父さんに追加を作るように相談していた。
その作業が終わるとお母さんは、私が手に持っている注文票を見て、「ご注文?」と手を差し出してくれた。
しみじみ、といった風にお母さんがつぶやいて、お父さんに伝えるために厨房へと足を向ける。
ついでに、私の近くのテーブルにさりげなくオレンジスカッシュを置いてくれるから、お母さんにはかなわない。