課長はブラックサンタ……だったはずなのに
「サンタが赤い衣装なのは、コーラで有名な某飲料会社のせいなんですよ。知ってました?」
「聞いたこととあるような、ないような」

「サンタの衣装って、イギリスでは緑、ロシアでは青らしいですよ」
「よく知ってるな」

「昔、調べたことがあって。なんで調べたか覚えてないですけど。……子供だけじゃなくて大人にもサンタからのプレゼントほしいですよねえ」
「恋人がサンタじゃ駄目なのか?」

「うーん、それだと自分もサンタにならないといけませんよねえ。一方的にプレゼントくれるだけのサンタがいいです」
「わかりやすく欲望の塊な発言だな」
 課長は笑いながらビールを飲んだ。

「しかしブラックサンタか。俺は一瞬、ブラックな仕事してるサンタかと思った。実際、一晩でプレゼントを世界中の子どもに配るとか、ブラック企業も真っ青だよな」
「残りの日々はなにしてるんでしょう。プレゼントを買うために出稼ぎ? なんで他人のためにそこまで」

「つきつめていくと面白いな」
「ブラックサンタは子どもを連れ帰るという噂もあるんですよ」

「じゃあ、俺はブラックサンタになってお前を連れ去ろうかな」
 私は飲んでたチューハイを噴きそうになった。

「やめてくださいよ、仕事させる気でしょ」
「ばれたか」
 言って、課長はまた笑う。
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