課長はブラックサンタ……だったはずなのに
「予約とれたから行くぞ。個室なら見られないだろうし」
「ええ!?」

「断ったらキャンセル料とられるそうだ。付き合ってくれるよな」
「うぅ……はい」
 私は仕方なく頷いた。

「サンタのおごりだ、ありがたく受け取れ」
 課長はのんきにサンタクロースが恋人だったと発覚した歌を歌いながら片付けをする。
 このタイミングで聞きたくない選曲、と私は微妙な気持ちになった。



 行った先は元気が売りの焼肉店だった。
 なんて色気のない選択だろうかと思ったが、なんだか安心もした。

 店内はいい匂いに満ちていて、すいたお腹がさらに空腹を訴えてくる。
 遠慮する私にかまわず、課長はどんどん頼んでどんどん焼いて食べさせてくる。

「課長って、焼肉奉行だったんですね」
「お前が遠慮してるからだ」

「ブラックサンタの正体が焼肉奉行……」
「なんで普通のサンタにしてくれないんだよ」

「プレゼントもらってないですし」
「おごりはカウントされないのか。このあと買いに行くか」

「やめてください。そういうつもりじゃないです」
 ああもう、私は失言ばっかり。話を変えないと。
< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop