First Last Love

「ああ、はいよろしくお願いします」
「貴重品だけこちらのメッシュポーチに入れてお持ちくださいませ」
「了解です」

 俺はスマホと財布、家の鍵を店側が渡してくれた小さなメッシュポーチに入れ、斜めがけカバンは預けた。

黒いダウンジャケットも脱いでマネキン姉さんに渡す。

 マネキン姉さんは預かった斜めがけカバンのぶんの引き換えとして、小さな番号札をくれた。

 その後、カウンター前のおしゃれなベンチに腰掛けて担当スタイリストを待つ。ものの数分でその人は俺の前にバインダーを持って現れた。

俺に似合いそうなツーブロックが上手い人を浅見さんがインスタで見つけた。それが目の前にいる彼で、今日は一番得意なカットをやってもらう。何やらそういう方法が一番うまくいくらしい。


「かっこいい、とかより、できれば、『できる上司』をアピールしたいんですが」

 そのために来ているから一応注文はつけておく。腕を振るわれるあまりチャラくされたら元も子もない。

「えっ。それで僕を指名?」
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