First Last Love

月城は信頼しているらしい〝叔父さん〟だけれど、俺から言わせれば悪意の塊だ。

ふと、隣にへたり込んでいる月城に視線を向けた。

俺がごちゃごちゃと考えている間、月城の方も唇を引き結び、眉間に皺を寄せ、何かを解き明かそうと懸命になっていた。

「月城……?」

俺の声が届かないくらいの集中の度合いだった。

月城は今、一生懸命自分の中に眠った記憶を探し当てようと戦っている。俺は声をかけるのをやめた。


十分か十五分が経った頃、月城はおもむろに立ち上がった。
俺も後に続く。

埃の積もる床をそっと歩き、止まったのは観音開きのタンスの前だ。

観音開きを開けると、中は内桐(うちぎり)になっているようで着物用の棚が並んでいる。

でも、一番下には引き出しがあった。その引き出しには鍵穴が付いている。
鍵穴の周りには、引っ掻き傷がいくつもできていて、針金か何かを使ってどうにか開けようとした形跡が残っていた。


「思い出した。ママとパパに何かあったら、ここに重要書類が入ってる、って言われてた。保険証とか日常使うものとは違う……たぶん生命保険のたぐいだと思う」


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