First Last Love

「なんか今日あるのか? なんでそんな超高級なスーツ着てんだ? 女か?」

 ああ……、どうしてこうもナツは服やアクセサリー類にはめざといんだ。

スーツなんてどれも似たようなものだろうに、育ちのいいおぼっちゃまには、上質なものとそうでないものは一目瞭然らしい。

「どうして会社で女って発想になるんだよ。気合いだよ! 浅見さんに、髪も切ってこい、できる上司をアピールしろ、って釘刺されたんだよ」
「じゃ、この面接のためか? 女じゃなくて!」

「もうー。お前は俺をなんだと思ってんだよ! 今を時めくCanalsの取締役副社長だぞ。俺の部署の最終採用面接なの!」
「やっぱり女だな」

 そうじゃないと言っているのに、勝手に納得し、ナツは俺を追い抜いて多目的ルームのドアノブを押し開いた。

 やっぱり女か……。

月城が最終まで残り、今日ここでまた会うと確信していなかったら、このスーツがお目見えすることはなかっただろう。

最終面接に残ったのは六人。男性が四人に女性が二人。

そのうちのひとりが、今日は黒いスーツに身を包んだ月城だった。

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