巫女&十二支擬人化男子、学園をナイショで守護してます!
 頭を抱えている私の気持ちも知らず、黄色い髪の男子がペラペラと自己紹介を始めている。


「俺は『戌』の化身だ。名前は志狼(しろう)。本身は犬の祖先である(おおかみ)だ」


 次は緑の髪の男子が、偉そうに自己紹介。


「我は『辰』、つまり(りゅう)の化身じゃ。龍生(りゅうせい)と呼ぶがよい」


 その次はオレンジの髪の男子が、待ってましたとばかりに自己紹介。


「俺は『子』の化身。ネズミの宙太(ちゅうた)や!」

「お前の名前、子の漢字が入ってないんだよな。俺や龍生の名前には、ちゃんと動物の字が入ってるのに」

「チュウって鳴き声が入っとるから問題なしや!」

「適当じゃのう。お前らしいわい」


 アッハッハッて明るく笑い合ってる三人を見て、なんだかプシューッと気が抜けた。

 ……えーっと。犬の志狼君、龍の龍生君、ネズミの宙太君ね?

 めちゃくちゃファンタジーな話だけれど、わりと素直に受け入れようと努力している自分がいる。

 だって仕方ないよ。

 目に見えない物は信じない主義だけど、こうして目に見えちゃってるんだもん。この人たち。


「ところで十二支って、あんたたち三人しかいないけど、残りはどこ?」

「……へ? 三人だけやって?」

「あ、本当だ! 俺たちしかいないぞ!?」

「他の者たちはいずこじゃ? 一緒に勾玉から解放されたはずじゃが?」


 三人が今さら慌てだした。

 十二支って偉くて立派そうなイメージだけど、わりと抜けてるタイプなのかな?
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