もっと、キミと


下駄箱に着くと、楽しそうに鼻歌を歌いながら靴を履き替える佐倉くん。


「……あの。これバレたら怒られるよね? どうしてそんなに楽しそうなの」


「学校に来たり、帰ったりする時以外で靴を履き替えるのは初めてだから。楽しくって、つい」


靴を履き替え終え、私が靴を履き替えるのを待つ彼。


今日まで知らなかったけれど、私と彼の下駄箱は出会っていれば背中合わせになる場所だった。


一度も会ったことはないと思うのだけれど。


靴を履き替えると、楽しそうに歩く佐倉くんとは違って私は周囲をキョロキョロと見渡し警戒しながらプールへ向かった。


プールは教員用や来客用の駐車場の近くにある。


体育でグラウンドを使っている生徒や先生にバレることはないだろうけど、大人がたくさんいるであろう場所をお忍びというのは心臓に悪い。


「白鳥さん、白鳥さん」


「っ、な、なに……?」


辺りを見渡しながらプールへ向かっていると、先にプールへ繋がる柵に手をかけている彼に声をかけられ、ビクッと肩を跳ね上げた。


「やっぱり鍵、開いてるよ」


普段なら南京錠が付いているプール。


しかし、もうすぐ始まるプールの授業のために鍵は開放されている。


不安な気持ちの私とは正反対な彼。


この先にどんな世界が広がっているのだろうとワクワクした顔をしている。


あぁ、もう……!


こうなぅたらもう、どうにでもなれ……!



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