もっと、キミと


「一年生は、プールの中。二年生はプールの外の草むしりをするんだよ。僕、屋上から全部見てたから」


「私より学校について詳しくない?」


「でも、目の前で見たことがなかったから。一度、近くで見てみたかったんだ」


彼の方を見ると、水面を見るのに夢中になっていた。


屋上から見たプールもきっと綺麗だったのだろう。


それなら、近くで見たいと思うのも当然だ。


改めて見る私でさえ、透き通ったプールが美しいと思うのだから。


しばらく水面を見ていると、パシャっと水しぶきが上がり制服にかかりそうになった。


「きゃっ」


短く悲鳴を上げてきゅっと目を閉じたが、水はかからなかった。


私の少し前に水溜りができている。


しかし、風が強いわけでも誰かが入っているわけでもないのに、突然こんなことが起こるはずがない。


私は疑いながら佐倉くんの方を見た。


「可愛い反応するね」


目が合った彼は、いつの間にか私の隣で同じようにしゃがんでいて制服の袖までまくって悪戯な笑みを浮かべていた。


プールを見るのに夢中になっていたのは、私の方だったみたい。


彼が手で私に向かって水をかけたのだ。



< 38 / 107 >

この作品をシェア

pagetop