もっと、キミと


「でも、美華はお父さんやお母さんが思っていた通りに育ってくれたと思ってるわ。いえ、今も願いを込めた通りに育ってくれたと感じてる」


「えぇ……どこが?」


母にひたすら褒められるのは、初めてだった。


ちょっとだけ嬉しいと思えたが、学校の男子からの嫌がらせや家での扱いにより、私の心は荒んだ。


その言葉を素直に受け取れることはできず、思わず聞き返してしまった。


「何も言わなくても、器用に何でもこなせてるじゃない。でも、それが美華にとっては圧にしか感じられなかったんだったよね」


「……うん」


人の迷惑にならないようにということを肝に銘じていたから、できていたと思う。


そして、それは私の心をどんどん殺していった。


私が、私でなくなっていくのは早かった。


それでも、母に気に入られたいという気持ちは強かった。


「美華。こんなお母さんでごめんね。美華の気持ちを教えて欲しい」


「私……教室に戻りたくない。私が、いても良いんだと思える場所にいたい」


じっと見つめてくる母とは違い、目を見るのが怖くて俯きながら言った。


「……そう。分かったわ」


変な間はあったが、母が納得したようなのでホッと安心して顔を上げた。


しかし、母の顔は受け入れを拒んでいるように感じるものだった。


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