もっと、キミと


リビングに入ると、テーブルに向かい合う形であんみつと水出しの緑茶が入ったグラスが置いてあった。


母は既に座っており、反対側の席に座った。


母と向かい合っておやつを食べるなんて、随分と久しい。


カップの蓋を取り「いただきます」と言ってからあんみつを食べ始めた。


優しい甘味に舌鼓し、ほっと癒された。


「最近のって美味しいのね。お店で食べるのと変わらないんじゃない?」


「そうだね」


最近のというのを語れるほど、我が家におやつを食べる習慣はない。


でも、美味しいのは事実だからこくりと頷いた。


何を話したら良いのか、どう切り出せば良いのか分からなくて半分くらい黙々と食べ進めていたら母が口を開いた。


「美しく、人を惹きつける輝きのある成功した人生を歩めるように……なんて、プレッシャーかけてるわね」


と。


何を言い出したんだろう?


あんみつを食べるのを止め、きょとんとした顔で母を見るといつも厳しく、凛とした顔をする母が優しい笑顔を向けていた。


ーーなんか、懐かしい気がする。


「……え?」


「美華の名前の由来」


……知らなかった。


まさか、自分の名前にそんな由来があったなんて。


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