スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
「あの、支払いは自分で」
「スマホの詫びだ」
「でも」
「それに、俺好みの服を選んでしまったから」
 耳を赤くしながら店員に「一回払いで」と指示してしまう蓮に、瑠花の顔も赤くなる。

 こういう女の子らしい服が好みなんだ。
 覚えておこう。
 ……だなんて、また会う機会があるとは限らないのに期待しすぎ!

「ありがとうございます」
「良く似合ってる」
 当然のように荷物も持ってくれて、手を繋いで店を出る。

 これはやっぱりデートと思っていいのでは?
 勘違い?
 彼は責任感が強いだけ……?

 電話番号はそのままでスマホの本体だけ買った。
 思わぬ出費は痛いけれど、もう三年使っていたスマホだから買い替えのタイミングだったと自分に言い聞かせる。
 通りすがりの雑貨屋や本屋をのぞき、二人で笑い合えるのも楽しい。
 遅めのお昼ご飯を食べ、カップルシートで映画を観て、またウィンドウショッピング。
 ってこれ、デートでしょ!
 絶対デートだよね!

 夕飯も一緒に食べて、スーパーで買い出しをして、荷物を取りに蓮のマンションへ。
 ついでに湿布も貼り替え、包帯をきれいに巻きなおしてもらった。

「明日も休みなら一緒にいられたのに」
「私は土日休みなので、明日もお休みです。蓮さんは何曜日がおやすみなんですか?」
「俺は不定期。24時間勤務だから」
 スーパーで買った食材と荷物を持って、蓮は瑠花のマンションまで送ってくれる。

 暗いけれど蓮と一緒なら怖くない。
 昨日の道を通った方が早いけれど、瑠花は怖くて違う道を選んだ。

「心配だし、荷物も重いから部屋の前まで送って行っていいかな?」
「は、はいっ。お茶でも飲んで……」
「いや、こんな夜にお邪魔するのは……」
 明日も仕事だしと真っ赤になっているけれど、もしかしてそういうお誘いをしたと思われた?
 部屋の扉を開け、玄関框に買い出ししたものを置いてくれる。

「ペットボトル、一度開けておこうか?」
「お願いします」
 そうだ。固いペットボトルのふたは片手じゃ開けられない。
 やっぱり気遣いがすごい。

「じゃ、戸締りちゃんとして」
「はい。本当にありがとうございました」
「……また連絡してもいいかな?」
「も、もちろんです」
 軽く手を上げて爽やかに帰っていくなんて反則でしょう?
 蓮の後ろ姿が見えなくなった瑠花は、綺麗に巻かれた左手の包帯を眺めてから玄関の鍵を閉めた。

 しばらくしてから届く「おやすみ」のメッセージ。
 もしかしてイイ感じでは?
 合コン行ってよかったって芽依に報告しないといけないのでは?
 瑠花はニヤニヤしてしまう顔を抑えられないまま「お仕事がんばってください。おやすみなさい」とメッセージを返信した。
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