刹那に触れる兎
わたしの勤務時間は、大体17〜23時まで。
しかし、基本的に時間に決まりはなく自由なので、その日によって自分で決められるのだ。
「ねぇ、レミさん。最後までさせてよ。レミさん、絶対名器でしょ?」
そう言いながら、わたしにパンパンになって反り上がるムスコを攻められ、快感に表情を歪める野田さん。
野田さんも週に一度はわたしに会いに来る常連で、34歳の既婚者だ。
「野田さんは奥さん居るでしょ?」
野田さんを上目遣いで見上げながらそう言うと、野田さんは「あいつは子どもが生まれてから、させてくれなくなったんだよ。」と不満そうに愚痴を吐いた。
「しかも、レミさんみたいに色気もないし、こんなにフェラも上手くない。」
「それでも本番はダメ。お店のルールだから。」
「レミさんはキスもさせてくれないもんなぁ、、、ぁあっ、んあ、イクっ!」
そうして、野田さんはわたしの口の中で果てた。
野田さんは時間になると、「いつかレミさんを抱いてみせるから。」と言い、帰って行った。
「はぁ、、、あんなのが旦那だなんて、奥さん大変そう。」
わたしはそう独り言を溢すと、煙草を咥えた。
そして、ドアの隙間から男性スタッフが「レミさん、」と声を掛けてきたので、「分かってる。煙草吸ったら準備するから。」と遮るように言うと、男性スタッフは「次は諏訪さんです。」と言った。
「また来たんだ。」
わたしはそう呟き、煙草に火をつけた。