冷徹の先にー司と紗奈ー
第4章 - 交差する心
紗奈は、冷徹さを追い求める一方で、司への思いが抑えきれなくなってきた。彼の言葉一つ一つが、心に深く刺さり、彼の目を見ていると、どこかで心が温かくなるのを感じていた。しかし、その感情が自分にとってどれだけ危険なものかを、紗奈は理解していた。
「私は、司を超えなければならない。」
その思いが強くなるたびに、紗奈の心の中で矛盾した感情が芽生えていた。司を超えるために冷徹でなければならない。だが、冷徹でいると、司に対する気持ちがどんどん強くなる。その二つの感情が、紗奈をますます混乱させていった。
「お前、最近、迷っているだろう?」
放課後、紗奈が校庭でトレーニングをしていると、突然、司が近づいてきた。彼の声はいつもの冷徹な響きを持っていたが、その目には少しの違和感が感じられた。
「迷ってなんていません。」紗奈は冷静に答えながら、トレーニングを続ける。
「嘘をつくな。」司はその言葉を冷静に言った。「お前がここで生き残るために、冷徹でいる必要があることはわかっているだろう。でも、お前、最近、少しだけ心が揺れている。」
その言葉に、紗奈は思わず手を止めた。彼が自分を見透かすように言ったその瞬間、心の中で何かが崩れるような気がした。司が自分をどこまで理解しているのか、わからなかった。
「私は…あなたを超えるために、冷徹でいなければならない。」紗奈は、その思いを必死で口にした。しかし、その言葉には、自分の心の中で感じているものが隠しきれないことを感じていた。
司は無言で紗奈を見つめ、その後、冷徹に言った。
「それなら、俺に一度試されてみるか?」
その言葉に、紗奈は驚きと興奮を感じながらも、冷静さを保とうとした。「試す…?」
「お前がどれだけ本気で冷徹になれるか、試してやる。」司は言った。その目には、いつものように冷徹な輝きが宿っていた。「俺が与える試練を乗り越えることができたら、少しは認めてやる。」
その言葉が、紗奈を一歩前に踏み出させた。「私は、あなたに認められるために戦います。」その言葉を、必死で伝えた。
司はそのまま無言で、少しだけ目を細めた。「じゃあ、覚悟しておけ。」