【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「セヴラン様、ごきげんよう」


 令嬢たちがすぐにセヴランへと声をかける。アメリーはみんなの最後尾に回りつつ、そっとセヴランを覗き見た。


(ああ、セヴラン様はやっぱり素敵だなぁ……)


 眩い金の髪に切れ長の紫色の瞳、目鼻立ちの美しく整った中性的な顔立ちに、スラリとした体型。それに加えて柔らかな物腰、高貴な雰囲気、笑顔に、優しい声音などなど……アメリーはセヴランのすべてがどうしようもないほど好きだった。

 お茶会に来ればセヴランに会えるかもしれない――そんな思いがあるからこそ、アメリーはエズメにどれだけ傷つけられても平気だった。


 とはいえ、内気なアメリーには自分からセヴランに話しかける勇気なんてない。いつも他の出席者たちの影に隠れ、彼をそっと覗き見るだけで終わるのだが……。


「こんにちは、アメリー嬢」

「え? あ、セヴラン様?」


 と、唐突にセヴラン声をかけられ、アメリーは思わず目を丸くする。


(どうしよう……変な声を出してしまったわ。受けこたえもきちんとできなかったし)


 大きな後悔に苛まれつつ、アメリーは急いでセヴランに向かって頭を下げた。


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