【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「ありがとう、フィオナ」
アシェルはダニエルの成長録にひととおり目を通した後、泣きそうな表情で微笑む。
「けれど、ダニエルの母親は――妹はもうこの世にいないんだ」
「え?」
アシェルの言葉に、フィオナは目を見開く。
「アシェル様の妹……?」
「ああ。実は、ダニエルは妹と身分の低い男性との間にできた子なんだ。だが、妹は出産の時に命を落としてしまった。相手の男性も病気でこの世を去ってしまって……それで公爵家の子として育てることにしたんだ。けれど、そんな事実を大っぴらにするわけにもいかないし、ダニエルの将来のことも考えると、私の子と偽るのが一番だろうということになった。私は女性が苦手だし、後継者も確保できてちょうどいい、と」
「そうだったんですね……」
返事をしながら、フィオナはそっとダニエルを見た。
ダニエルとアシェルはよく似ている。言われなければ永遠に気づかなかっただろう。
「だけど、そんな秘密をわたしに打ち明けてよかったのですか?」
「……君だから打ち明けたんだ」
アシェルはそう言って、フィオナの手をギュッと握る。フィオナの心臓がドキッと高鳴った。
アシェルはダニエルの成長録にひととおり目を通した後、泣きそうな表情で微笑む。
「けれど、ダニエルの母親は――妹はもうこの世にいないんだ」
「え?」
アシェルの言葉に、フィオナは目を見開く。
「アシェル様の妹……?」
「ああ。実は、ダニエルは妹と身分の低い男性との間にできた子なんだ。だが、妹は出産の時に命を落としてしまった。相手の男性も病気でこの世を去ってしまって……それで公爵家の子として育てることにしたんだ。けれど、そんな事実を大っぴらにするわけにもいかないし、ダニエルの将来のことも考えると、私の子と偽るのが一番だろうということになった。私は女性が苦手だし、後継者も確保できてちょうどいい、と」
「そうだったんですね……」
返事をしながら、フィオナはそっとダニエルを見た。
ダニエルとアシェルはよく似ている。言われなければ永遠に気づかなかっただろう。
「だけど、そんな秘密をわたしに打ち明けてよかったのですか?」
「……君だから打ち明けたんだ」
アシェルはそう言って、フィオナの手をギュッと握る。フィオナの心臓がドキッと高鳴った。