【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
宣言通り、アシェルはそれからさらにダニエルのことを気にかけるようになった。毎朝ダニエルの部屋に顔を出し、たっぷりと抱っこをしてから仕事に向かう。それ以外の時間も暇さえあればダニエルのもとにやってきて、彼の世話をしたり、遊んでくれたりするようになった。
(ダニエル様、とっても嬉しそう)
はじめはアシェルが触れる度に不安そうな顔をしていたダニエルも、今では彼が来る度に弾けるような笑顔を見せてくれる。そうすると、アシェルも嬉しそうに笑うので、フィオナは一層幸せな気持ちになった。
「ダニエル……と、寝ているのか」
ある時、ダニエルの昼寝中にアシェルがやってきた。彼は音を立てないようベビーベッドに近づくと、ダニエルの寝顔に目を細める。
「かわいいでしょう?」
「……ああ」
幸せそうなアシェルの笑顔を見つめながら、フィオナは胸がいっぱいになった。
「それは……なにを書いているんだ?」
「これですか? 実はここに来てから毎日、ダニエル様の成長録をつけているんです」
「ダニエルの?」
目を丸くするアシェルに、フィオナは革張りの冊子を手渡す。
「はい。どんなふうに一日を過ごしたのか、その日のご様子、わたしが感じたことなどを書き綴っております。そしたら、いつかダニエル様のお母様が戻っていらっしゃった時に、お渡しすることができるでしょう?」
「……そうか、それで」
ダニエルの母親について、使用人たちは頑なに口をつぐんでいる。今どこにいるのか、どんな事情があってダニエルを置いていったのか、どうしてアシェルがそれを受け入れたのか、フィオナには知る由もない。
けれど、もしも自分がダニエルの母親なら、どれだけ離れていても我が子の様子を知りたいと思う。だから、もしも彼女が再び公爵家に現れたときのために記録を残そうと思ったのだ。
(ダニエル様、とっても嬉しそう)
はじめはアシェルが触れる度に不安そうな顔をしていたダニエルも、今では彼が来る度に弾けるような笑顔を見せてくれる。そうすると、アシェルも嬉しそうに笑うので、フィオナは一層幸せな気持ちになった。
「ダニエル……と、寝ているのか」
ある時、ダニエルの昼寝中にアシェルがやってきた。彼は音を立てないようベビーベッドに近づくと、ダニエルの寝顔に目を細める。
「かわいいでしょう?」
「……ああ」
幸せそうなアシェルの笑顔を見つめながら、フィオナは胸がいっぱいになった。
「それは……なにを書いているんだ?」
「これですか? 実はここに来てから毎日、ダニエル様の成長録をつけているんです」
「ダニエルの?」
目を丸くするアシェルに、フィオナは革張りの冊子を手渡す。
「はい。どんなふうに一日を過ごしたのか、その日のご様子、わたしが感じたことなどを書き綴っております。そしたら、いつかダニエル様のお母様が戻っていらっしゃった時に、お渡しすることができるでしょう?」
「……そうか、それで」
ダニエルの母親について、使用人たちは頑なに口をつぐんでいる。今どこにいるのか、どんな事情があってダニエルを置いていったのか、どうしてアシェルがそれを受け入れたのか、フィオナには知る由もない。
けれど、もしも自分がダニエルの母親なら、どれだけ離れていても我が子の様子を知りたいと思う。だから、もしも彼女が再び公爵家に現れたときのために記録を残そうと思ったのだ。