【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「ジョルヴィア公爵家って、あのジョルヴィア公爵家よね?」
ジョルヴィア公爵家は王家と縁の深い筆頭公爵家だ。ああいった名家は外から使用人を雇うことがほとんどない。両親の雰囲気からして、フィオナを元気づけるための話題なのだろうが、あまりにも突拍子がないと感じてしまう。
「ああ。一年ほど前に代替わりをし、現在は二十三歳のアシェル様が当主を務めているそうだ。アシェル様は独身なんだが、生まれて四カ月ほどの息子さんがいるらしくてね」
「四カ月の息子さんが……?」
つぶやきながら、思わず涙が込み上げてくる。それはフィオナが欲しくてやまなかったもの――今後、絶対に手に入れられないものだ。小さく鼻をすするフィオナを、母親がそっと抱きしめた。
「その息子さんなんだが、ある日突然、手紙とともに公爵家の前に置き去りにされていたんだそうだ。そのせいで使用人の数が足りなくなり、公爵様が新しい使用人を――とりわけ、将来公子の教育係を務められるような女性を探しているらしい。それで、交流のあった先代公爵から直々に打診があったんだ」
「そうだったのですね……」
こんな込み入った事情を打ち明けられるぐらいだから、父親と先代公爵に交流があったというのは本当なのだろう。もしかしたら、フィオナの身に起こった出来事も伝えていたのかもしれない。フィオナはそっと顔を上げた。
ジョルヴィア公爵家は王家と縁の深い筆頭公爵家だ。ああいった名家は外から使用人を雇うことがほとんどない。両親の雰囲気からして、フィオナを元気づけるための話題なのだろうが、あまりにも突拍子がないと感じてしまう。
「ああ。一年ほど前に代替わりをし、現在は二十三歳のアシェル様が当主を務めているそうだ。アシェル様は独身なんだが、生まれて四カ月ほどの息子さんがいるらしくてね」
「四カ月の息子さんが……?」
つぶやきながら、思わず涙が込み上げてくる。それはフィオナが欲しくてやまなかったもの――今後、絶対に手に入れられないものだ。小さく鼻をすするフィオナを、母親がそっと抱きしめた。
「その息子さんなんだが、ある日突然、手紙とともに公爵家の前に置き去りにされていたんだそうだ。そのせいで使用人の数が足りなくなり、公爵様が新しい使用人を――とりわけ、将来公子の教育係を務められるような女性を探しているらしい。それで、交流のあった先代公爵から直々に打診があったんだ」
「そうだったのですね……」
こんな込み入った事情を打ち明けられるぐらいだから、父親と先代公爵に交流があったというのは本当なのだろう。もしかしたら、フィオナの身に起こった出来事も伝えていたのかもしれない。フィオナはそっと顔を上げた。