【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「聖女じゃない?」
「はい。わたしはどこにでもいる、普通の人間です。本来こんなところに来るべき人間じゃないんです」
「それじゃあ、どうしてここに?」
リアムがたずねると、ラブはシュンと肩を落とした。
「実は、わたしが起こしているのは『奇跡』に違いないって、町の人から騒がれてしまったんですよね。全然、そんなんじゃないのに。それが神殿の人の耳に入ったらしく、お迎えがきてしまって」
なるほど、これまでは本人が『自分は聖女に違いない』と神殿に来るパターンがほとんどだったので、珍しいパターンである。
「……ですから、リアム様にはしっかりわたしを見てもらって神殿に『この女は聖女じゃない』って報告してもらいたいんです。そうしたらすぐに家に帰れるでしょう?」
「……なるほど」
これまで『自分は聖女だと口添えしてほしい』と請われてきたリアムとしては、こちらのほうがずっと気が楽だ。リアムはホッとほほえみつつ「わかりました」と口にする。
「ラブ様の事情はさておき、最低三カ月はここで生活し、聖女としての素養を見定めることになります。よろしくお願いいたします」
「わかりました! よろしくお願いいたします」
ラブは満面の笑みを浮かべると、ペコリと大きく頭を下げた。
「はい。わたしはどこにでもいる、普通の人間です。本来こんなところに来るべき人間じゃないんです」
「それじゃあ、どうしてここに?」
リアムがたずねると、ラブはシュンと肩を落とした。
「実は、わたしが起こしているのは『奇跡』に違いないって、町の人から騒がれてしまったんですよね。全然、そんなんじゃないのに。それが神殿の人の耳に入ったらしく、お迎えがきてしまって」
なるほど、これまでは本人が『自分は聖女に違いない』と神殿に来るパターンがほとんどだったので、珍しいパターンである。
「……ですから、リアム様にはしっかりわたしを見てもらって神殿に『この女は聖女じゃない』って報告してもらいたいんです。そうしたらすぐに家に帰れるでしょう?」
「……なるほど」
これまで『自分は聖女だと口添えしてほしい』と請われてきたリアムとしては、こちらのほうがずっと気が楽だ。リアムはホッとほほえみつつ「わかりました」と口にする。
「ラブ様の事情はさておき、最低三カ月はここで生活し、聖女としての素養を見定めることになります。よろしくお願いいたします」
「わかりました! よろしくお願いいたします」
ラブは満面の笑みを浮かべると、ペコリと大きく頭を下げた。