【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「――この患者さんは心臓を患っています。私たちが薬を処方し、治療を続けていますが、完治はできない病気です。また、薬を飲んだとしても、痛みは強いようで……」
「なるほどなるほど」
病棟につくと、ラブは医官から説明を聞き、患者のそばに座る。
「こんにちは。ちょっと『手当て』してもいいですか?」
「……また聖女候補か。どうせ今回も偽物だろう? なんの意味もないよ」
患者はそう言ってフンと大きく鼻を鳴らす。ラブは少しだけ目を見開くと「わかります!」と笑顔で手を叩く。
「実はわたしも、自分は聖女じゃないって思ってるんです。それでも、あなたの痛みが少しでも軽くなったらいいなあと。……まあ、気休めだと思って」
ラブはそう言って、患者の胸のあたりに手を当てた。
「痛いの痛いの飛んでいけっ」
満面の笑みを浮かべたラブに、患者は狐につままれたような表情を浮かべる。……と同時に、彼の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「……え?」
「えへへ、少しは元気出ました? でも、わたしができるのはこれぐらいなんで、ホント、ごめんなさいね!」
ラブはそう言って患者のそばから立ち上がる。
「――痛みが消えてる」
「え?」
患者がつぶやき、リアムは思わず目を見開く。
だが、次の患者のもとに向かうラブには、彼らの会話は聞こえていなかった。
「なるほどなるほど」
病棟につくと、ラブは医官から説明を聞き、患者のそばに座る。
「こんにちは。ちょっと『手当て』してもいいですか?」
「……また聖女候補か。どうせ今回も偽物だろう? なんの意味もないよ」
患者はそう言ってフンと大きく鼻を鳴らす。ラブは少しだけ目を見開くと「わかります!」と笑顔で手を叩く。
「実はわたしも、自分は聖女じゃないって思ってるんです。それでも、あなたの痛みが少しでも軽くなったらいいなあと。……まあ、気休めだと思って」
ラブはそう言って、患者の胸のあたりに手を当てた。
「痛いの痛いの飛んでいけっ」
満面の笑みを浮かべたラブに、患者は狐につままれたような表情を浮かべる。……と同時に、彼の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「……え?」
「えへへ、少しは元気出ました? でも、わたしができるのはこれぐらいなんで、ホント、ごめんなさいね!」
ラブはそう言って患者のそばから立ち上がる。
「――痛みが消えてる」
「え?」
患者がつぶやき、リアムは思わず目を見開く。
だが、次の患者のもとに向かうラブには、彼らの会話は聞こえていなかった。