The previous night of the world revolution4~I.D.~
「…でもさ、もし船が…その、事故ったんなら、捜索願いみたいなのが出されるんじゃねぇの?」

アリューシャが、言葉を選びながらそう聞いた。

「私もそう思う。でも、今のところ捜索はされてない」

そもそも、おおまかな居場所も分からないのに、何処を捜索すれば良いのか。

「それに、あの船はシェルドニア王国の船だ。ルティス帝国の海域で行方不明になったのならともかく、他の国の海域で行方不明になったのなら…」

…色々、ややこしいことになるだろう。

無論、私達には口を出す権利がない。

あの船はシェルドニア王国の船なのだから。

「じゃあ…じゃあ私達は、黙って待ってるしかないって言うの!?ルレイアが、何処かで助けを求めてるかもしれないのに!」

「シュー公、ちょっと落ち着けよ」

「落ち着いてなんかいられないわ!ルレイアはっ…。ルレイアは、私の一番大事な…!」

「だから何だよ。アリューシャ達がルレ公達のこと、心配してないとでも思ってんの?」

「…!」

…アリューシャの口は悪いけど。

私も、同感だ。

「…私も、アリューシャも、アシュトーリアさんも…シュノ、君に負けないくらいルレイア達のことを心配してるよ。いてもたってもいられないのは、皆同じだ」

「…そう…よね。ごめんなさい…」

少し冷静になったのか、シュノは申し訳なさそうに謝った。

「でも…でも、私…大人しくなんて、していられない。何か出来ることはない?私、何でもするから…」

「うん…そうだね」

私も、何でもするつもりだ。

今は…まず、情報が欲しい。

しかし、情報を得る手段が、決定的に不足している。

ここがネックなのだ。

何と言っても、ルレイア達がいるのは、外国だ。

ルティス帝国国内なら、私が手を出せないところはほとんどない。

でも…ルティス帝国の外となると…私が手を出せる場所は限られる。

こうなったら…すがれるものには、何でもすがるしかないな。

「…決定的な情報ではないけど、一つ…あてがある。そこを頼ってみようと思ってるんだけど…」

「何処!?私も協力するわ」

「アリューシャも、出来ることは少ねぇけど…。でも、やれることは何でもやるぜ」

「うん。じゃあ、一緒に頼んでくれないかな」

「…頼む?」

このような手段に頼るしかないというのは、我ながら情けないことではある。

でも、今は形振り構ってはいられない。

それに…私の推測が正しければ。

彼女のそれは、恐らく決定的な情報になり得ると思って良いだろう。
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