The previous night of the world revolution4~I.D.~
「シュノ先輩、クッキー焼いてきたんだ。食べないか?」

「…うん…」

ルリシヤがお手製のクッキーを差し出すも、シュノさんは生返事だけをして、クッキーには手をつけない。

…駄目か。

「シュノ、これ昨日取引先からもらったんだけど、食べない?」

今度はアイズレンシアが、昨日もらったというお菓子の詰め合わせを差し出したが。

「…うん…」

やっぱり、手をつけない。

それどころか、ちらりとも見ようとしない。

…駄目か。

すると、ルルシーが俺に目配せをしてきた。

俺はアイコンタクトで頷き、アイズが差し出したお菓子の詰め合わせから、適当にフィナンシェを取った。

そのフィナンシェを齧り、俺は大袈裟にリアクションしてみせた。

「わぁ、美味しい。シュノさんこれ美味しいですよ。シュノさんも食べてみません?」

「…ん…」

…駄目だった。

シュノさん…これは思った以上のダメージだな。

「シュノさん、大丈夫ですか?」

「…うん」

…うん、とは言うけれども。

全然大丈夫そうに見えない。

シュノさんの、この落胆ぶりと来たら。

アリューシャも、お菓子を食べる手を止めて、思わず言葉を失っているくらいだ。

これは思った以上に根が深い。

確かに、俺もルーさんのことはショックではあるけど…。

寿命だから、ある程度仕方ないと覚悟していた。

シュノさんも、覚悟はしていたのだろうが…。

やっぱり、実際いなくなると悲しいよな。

俺だってルルシーが死んだら、もうこの世界なんてどうでも良いもん。

『愛国清上会』じゃないけど、化学兵器ぶっぱなして退場するよ。この世から。

今のシュノさんも、そのくらいのショックなのだろう。

可哀想に。

それにしたって…そろそろ元気を出して欲しいものだ。
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