The previous night of the world revolution4~I.D.~
俺はこの船旅で、幾度も奴らの部屋に盗聴器や監視カメラを仕掛けた。

ありとあらゆる場所に、だ。

素人なら、絶対に気づかないような箇所にも設置しておいた。

それなのに、今ではその全てがただのガラクタに成り果てている。

あのルリシヤとかいう仮面の男が、仕掛けた傍から取り外して、壊しているからである。

カジノで見掛けたときから、怪しいとは思っていたが…。

それに、あのルルシーとかいうのと、ルレイアもそうだ。

当初の予定では、シェルドニア本国に着く頃にはとっくに洗脳が完了しているはずだったのに。

未だに、抵抗を続けている。

さすがにかなり弱ってはいるようだが、予想以上の抵抗を見せてくる。

こちらの方が根負けしてしまうほどだった。

堪りかねて、俺は本国にいる主に連絡を入れた。





『そう…随分頑張るんですのね』

「はい…。あれほど抵抗するとは…。正直、予想外でした」

『…』

彼女は、不満げに顔をしかめた。

「…如何致しましょう。許可を頂けるのでしたら、今すぐに『あれ』を使って、すぐにでも…」

『いいえ、その必要はないですわ』

「…」

『本命の彼が予想以上に抵抗するのは厄介ですけれど。でも、その船で『あれ』を使うのは、あまりに危険ですわ。やるなら、お仲間の二人と引き離してからでないと』

「…では、本国に着くまで、このままで宜しいですか?」

『えぇ、そうして頂戴。…早く帰ってきてくださいね、わたくしのルシード』

「…はい。畏まりました」

俺は、画面の向こうの彼女に深く頭を下げた。

本国に着くまではこのまま…か。

ということは、奴ら三人が仲良しこよししていられるのも…あと僅かだな。
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