The previous night of the world revolution4~I.D.~
しかも。

「上司に向かって『仕事しろ!』とは。勇気があるな、ルルシー先輩」

「アシュトーリアさんは器が大きいから、これくらいで怒ったりしないよ」

「だってよ。打ち首じゃねぇって。良かったなルル公!」

「…お前らも…何処から生えたんだよ」

一体いつの間に。

忍者かお前達。それとも俺が鈍いだけなのか?

「そ、それはともかく…。一体どうしたんですか、アシュトーリアさん。用があるなら呼んでくれれば…」

わざわざ来なくても、俺の方から行ったのに。

「私、ルレイアに相談したいことがあったのよ。だからここに来たの」

「ほう、俺にですか。で、相談したいこととは?」

…何でルレイアに用があるのに、俺の部屋に来るんですかね。

ここに来ればルレイアがいるだろうって?

…あぁ、頭痛い。

「シュノのことよ」

「…シュノさんの…」

…シュノのこと、か。

アシュトーリアさんが何を相談しに来たのか、察した。

「最近、シュノの元気がないでしょう?」

「えぇ、そうですね」

言うまでもなく、あのハリネズミの一件だ。

「私も昨日、シュノを慰めたんだけど…。やっぱり元気がないの。ルレイア、あなたがシュノを慰めてあげてくれないかしら」

「アシュトーリアさんで駄目だったのに、俺が慰めて効果があるでしょうか?」

…際どいところだな。

アシュトーリアさんが慰めても効果がなかったのに、ルレイアなら大丈夫だという保証はない。

「シュノはルレイアのことが大好きだもの。きっとルレイアなら大丈夫よ」

…何処から来るのか、その自信。

「そうですか…。分かりました。ではベッドで慰めてきます」

「おい待て。ルレイア」

俺はガシッ、とルレイアの肩を掴んだ。

お前の慰め方は間違ってる。

「何ですかルルシー。俺はシュノさんを慰めなきゃならないんです」

「誰がベッドで慰めろと言った!もっとまともな方法で慰めてやれ!」

「え?だって俺のハーレム会員は、『傷ついた心を癒して…』ってベッドの上でおねだりしてきますよ?」

そりゃお前のハーレム会員はそうかもしれないけど。

しかし、アリューシャは。

「いや、案外行けるんでね?だってルレ公がベッドで女の子を慰めるのは、ルレ公の…日常でね?」

「日常言うな」

「ルレイア先輩の『技術』なら、シュノ先輩を慰めることも出来るはずだ。俺も見習わないとな」

「見習うな」

この世で一番見習っちゃいけない男だぞ。

「とにかく、シュノを慰められるのはルレイアだけだと、私も思うよ。ベッドでも何処でも良いから、シュノを慰めてあげて」

と、アイズ。

ベッドは止めろよ。慰められれば手段は何でも良いと言うのか。

「分かりました!ではこのルレイア・ティシェリー、ピー百人のハーレムの頂点に立つ男として、見事シュノさんを慰めてみせます!では!」

「おー、頑張れルレ公」

「応援してるわね~」

頼り甲斐があるんだかないんだか。

説得力だけはある。

すると、部屋を出ていきかけたルレイアが、くるっ、とこちら向いた。

「あ、ルルシー!でも一番はあなたですからね!後でルルシーもベッドで『慰めて』あげるので、拗ねないでくださいね!」

「はよ行け」

誰が拗ねるか。早く行って、シュノを慰めてやれ。
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