The previous night of the world revolution4~I.D.~
良い歳して縦ロールとか、ですわ系キャラとか、どうかと思うけど。

更に、他人を脅迫して人を殺させようとするなんて。

超絶模範的で、全ての子供の手本のような立派な大人の俺には、とてもではないが真似出来ない。

「…従わなければ、洗脳して無理矢理言うことを聞かせる、と?」

「軽蔑したければすれば良いですわ。そうまでしてでも、成し遂げなければならないことがあるんですもの」

今度は開き直り始めた。

全く愉快な女だよ。俺をイラつかせてくれる天才だ。

だが、俺だって言いなりになるつもりはない。

「…やりたきゃやれよ、糞ババァ」

何度も言ってるだろう。俺は誰からも尊敬される、模範的な大人なのだ。

故に。

脅迫されたのなら、脅迫し返すのみ。

「洗脳して言うことを聞かせる?やれよ、ほら。俺が恐れると思ったか?お前に洗脳されるくらいなら…今ここでお前を殺して、自殺した方がマシだ」

そうすれば、誰にも迷惑はかからない。

マフィアが、自分の命を惜しむと思ったか。

ルルシーもルリシヤも、反論はしなかった。二人共、覚悟を決めた目をしていた。

この女の好きにされて、後に公衆の目の前で首を落とされるくらいなら。

今ここで、この忌々しい女をぶち殺して…自分で、自分の命を絶つまでだ。

自分の命を自分で終わらせる、その覚悟もせず…マフィアをやってると思うなよ。

俺の脅しを受けて、アシミムは毅然とした表情を崩しはしなかったものの。

目は、怯えていた。

しかし、ルシードは怯えていなかった。

彼は、主を守るように前に出た。

「…主に手出しはさせん」

「で?どうするんです。俺達三人を相手にしながら、そこの足手まといお嬢様を守ると?馬鹿にされたもんですね」

ほぼ丸腰とはいえ、俺達は三人だぞ。

三人がかりで、いかにルシードが手練れであろうとも、後ろにアシミムを守りながら俺達を相手にするなんて不可能だ。
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