The previous night of the world revolution4~I.D.~
すると。
「…もう良いですわ。あなた方が二つ返事に協力してくださるとは、わたくしも思っていませんでしたから」
アシミムは、肩を落としてそう言った。
…何だと?
「だからこそ…保険をかけたのです。…ルレイア卿」
「あ?」
「わたくしが協力して欲しかったのは、もとより、あなただけですわ。ルティス帝国や箱庭帝国で、鬼神、死神と恐れられるあなた…。あなたがいれば、わたくしの目的は達成出来ると思ったのです」
そう言って。
アシミムは、怯えから一転、覚悟を決めた目で…ポケットに隠していた赤いボタンを、押した。
次の瞬間。
「…っ!?」
室内に、大音量で不気味な音楽が鳴り響いた。
それは、『白亜の塔』で聞いたものよりも…もっとずっとおぞましく、俺の頭の中を侵食した。
「くっ…」
「ルレイア!」
思わず膝を着くと、ルルシーが反射的に駆け寄ってこようとした…が。
ルリシヤが、それを無理矢理止めた。
ルリシヤは、気がついたのだ。
俺も、同時に気がついた。
これは、音楽だけじゃない。
『白亜の塔』で俺に悪夢を見せた、あのおぞましい音響波。
それが、あのときの何倍にもなって、俺の意識を奪い取ろうとしていた。
「る…り、しや…」
俺は、途切れゆく意識の中で、必死に声を絞り出した。
か細い声が、彼に届くことを願って。
「やく、そくを…。ルルシーを…まもっ…て…」
「…心得た」
…さすがは、俺の見込んだ男だった。
ルリシヤは、俺に駆け寄ろうとするルルシーを止め。
更に、拳銃を向けようとするルシードの腕を蹴り上げた。
ルシードがその攻撃を受け止め、反撃に転じようとした…そのとき。
ルシードの腕を蹴り上げた、ルリシヤの黒い厚底のブーツから、バチンッ!と弾けるような音がした。
スタンガンだ。
ルリシヤは、靴の踵の部分にスタンガンを仕込んでいたのだ。
全く…なんて素敵な武器を隠しているんだ、あの男。
「っ!?」
ルシードも、まさかルリシヤが靴にスタンガンを仕込んでいたとは思わなかったのだろう。
スタンガンの一撃をまともに食らって、よろめいていた。
ルリシヤは、その隙を見逃さなかった。
床に膝を着く俺に背を向け、ルリシヤはルルシーを連れて、脱兎のごとく駆け出した。
俺は意識が途切れるその直前に、ルルシーの顔を見た。
彼は最後まで、俺を助けようと手を伸ばしていた。
それを見て、これで死んでも悔いはないな、と思った。
だってルルシーは、最後まで…俺を助けようとしてくれた。
彼は俺の人生で、ずっと救世主でいてくれたのだから。
「…もう良いですわ。あなた方が二つ返事に協力してくださるとは、わたくしも思っていませんでしたから」
アシミムは、肩を落としてそう言った。
…何だと?
「だからこそ…保険をかけたのです。…ルレイア卿」
「あ?」
「わたくしが協力して欲しかったのは、もとより、あなただけですわ。ルティス帝国や箱庭帝国で、鬼神、死神と恐れられるあなた…。あなたがいれば、わたくしの目的は達成出来ると思ったのです」
そう言って。
アシミムは、怯えから一転、覚悟を決めた目で…ポケットに隠していた赤いボタンを、押した。
次の瞬間。
「…っ!?」
室内に、大音量で不気味な音楽が鳴り響いた。
それは、『白亜の塔』で聞いたものよりも…もっとずっとおぞましく、俺の頭の中を侵食した。
「くっ…」
「ルレイア!」
思わず膝を着くと、ルルシーが反射的に駆け寄ってこようとした…が。
ルリシヤが、それを無理矢理止めた。
ルリシヤは、気がついたのだ。
俺も、同時に気がついた。
これは、音楽だけじゃない。
『白亜の塔』で俺に悪夢を見せた、あのおぞましい音響波。
それが、あのときの何倍にもなって、俺の意識を奪い取ろうとしていた。
「る…り、しや…」
俺は、途切れゆく意識の中で、必死に声を絞り出した。
か細い声が、彼に届くことを願って。
「やく、そくを…。ルルシーを…まもっ…て…」
「…心得た」
…さすがは、俺の見込んだ男だった。
ルリシヤは、俺に駆け寄ろうとするルルシーを止め。
更に、拳銃を向けようとするルシードの腕を蹴り上げた。
ルシードがその攻撃を受け止め、反撃に転じようとした…そのとき。
ルシードの腕を蹴り上げた、ルリシヤの黒い厚底のブーツから、バチンッ!と弾けるような音がした。
スタンガンだ。
ルリシヤは、靴の踵の部分にスタンガンを仕込んでいたのだ。
全く…なんて素敵な武器を隠しているんだ、あの男。
「っ!?」
ルシードも、まさかルリシヤが靴にスタンガンを仕込んでいたとは思わなかったのだろう。
スタンガンの一撃をまともに食らって、よろめいていた。
ルリシヤは、その隙を見逃さなかった。
床に膝を着く俺に背を向け、ルリシヤはルルシーを連れて、脱兎のごとく駆け出した。
俺は意識が途切れるその直前に、ルルシーの顔を見た。
彼は最後まで、俺を助けようと手を伸ばしていた。
それを見て、これで死んでも悔いはないな、と思った。
だってルルシーは、最後まで…俺を助けようとしてくれた。
彼は俺の人生で、ずっと救世主でいてくれたのだから。