The previous night of the world revolution4～I.D.～

ルリシヤ曰く、ルティス帝国とは文化が違い過ぎるのだから、戸惑うのは当たり前、なのだそうが。

そりゃ確かにその通りかもしれないが、それにしたって慣れない。

言葉がいまいち分からないから、余計そう思うのかもしれない。

俺達は今、シェルドニア王国王都の隅っこにある住宅街の、二人暮らし用の小さなアパートメントを借りて、そこに住んでいるのだが。

最初大家に挨拶したとき、老齢のお婆さん大家は、俺達を見てにこにこしながら、「ご夫婦ですか？」と聞いてきた。

一緒にして目が点になった俺だが、ルリシヤは平然と「はい」と答えた。

部屋に入ってから、おいおいお前何言ってるんだ、ルレイアじゃあるまいし、と言ったところ。

ルリシヤが、全部説明してくれた。

シェルドニア王国では、同性婚が認められており。

男同士のカップル、女同士のカップルは、そう珍しくないのだとか。

成程。二人暮らし用のアパートに男二人が越してきたら、そりゃ恋人扱いされてもおかしくないよな。

俺としては「違います」と言いたいところだが。

「友達同士でルームシェアしてます」よりは、「恋人同士が同棲してます」と言う方が、まぁ…自然だよな。

実にルレイアが喜びそうな制度だよ。全く。

同性婚制度だけでも俺にとってはカルチャーショックなのに、アパートの部屋の中も、色々とルティス帝国とは違うところがあった。

キッチンの造りからしても、全然違うし。

窓という窓が丸いし。

何より、部屋の中は壁も床も、真っ白なのだ。

扉も、アパートの外壁も真っ白。

これは俺達のアパートだけではなく、この国の建物はほとんど全てがそうだ。

建物は、全部真っ白。

走っている車も、街行く人が着ている服も、ほとんどが白一色だった。

ルレイアにとっては、目に悪い国だろうな。

それに、建物と言えば、もう一つ気になることもあるのだか…。それは後述するとして。