The previous night of the world revolution4~I.D.~
アリューシャの気持ちは分かる。

私だって悔しい。

遠い異国で、仲間が…家族が、何より助けを必要としているときに。

こちらで出来ることはないから、サポートだけはしてあげるけど、あとは自分達で何とかして、なんて。

こんな薄情な言葉があるだろうか。

出来るものなら、今すぐにでも彼らを助けに行きたい。

その気持ちは、ここにいる誰もが同じだ。

でも、出来ない。

下手なことをすれば、それは彼らの命を脅かす。

助けるどころか、足を引っ張ることになるのだ。

それだけは、絶対に駄目だ。

「…そっか…。もう、他に作戦はないの?」

「…実行に移せる作戦は、もうないね。他にも…いっそルレイアは放置して、ルルシーとルリシヤだけ回収しに行くとか…」

「それは駄目。却下」

シュノが厳しい声で即答した。

だよね。私もそう思う。

考えるまでもない作戦だ。

「あとは、帝国騎士団や、箱庭帝国、アシスファルト帝国に協力してもらって、シェルドニアに呼び掛けてもらう。ルレイアを返せってね」

「それは、何でやらないの?」

「やったところで、しらばっくれられるのは目に見えてるでしょ?」

誰に何を言われようが、「え?そんな人私の国にはいませんよ?」と言えば良い。

それに、よその国を介入させたら、煩わしがったアシミムが人質を…ルレイアを、どうするか分からない。

大胆な行動は避けるべきだ。

少なくとも、今は。

「ルリシヤが、折角アシミムの目を掻い潜って、苦労して連絡してきてくれたんだから…。私達が、それを台無しにする訳にはいかない」

「…そうね…。歯痒いけれど…」

「ぐぬぉ~…。アシミムって奴がルティス帝国にいたら…!アリューシャが格好良く撃ち抜いてやるのに!」

本当にね。それなら簡単なのに。

でも、残念ながらそう簡単にはいかない。

「『青薔薇連合会』に入ってまだ日の浅い構成員を募って、シェルドニア王国に入国させる手配を進めます。それから…洗脳とやらの対策も考えなくては。それで良いですか、アシュトーリアさん」

「えぇ…それで良いわ。今回ばかりは、慎重に行きましょう。ルレイア達の命が懸かっているわ」

「…はい」

歯痒い思いを抱えながらも。

私達は、今出来る最大の支援をする以外に、どうしようもなかった。
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