The previous night of the world revolution4~I.D.~
ハーレム会員の自爆テロで、上手くアシミム「だけ」を殺さなくてはならない。

これが上手く行かなければ、取り返しのつかないことになる。

アシミムを殺せないだけなら良い。

でもアシミムを殺して、ルレイアまで巻き添えにしてしまったら、何の為にルレイアのハーレム会員に自爆してもらったのか分からない。

だから…この作戦も、実行に移すのは躊躇われる。

「無理か…!やっぱり無理なのか?アリューシャ達には世界を救えないのか?」

「世界って言うか、ルレイア達だけど…。まだ分からないよ。方法はもう一つある」

「マジでっ?じゃあもうそれにしよ!」

まだ言ってないよアリューシャ。

「方法三つ目。ゴキブリのようにこそこそと、地味にルルシーとルリシヤの支援をしよう作戦」

「やっぱそれだ!アリューシャゴキブリ得意だよ!狙撃の次にゴキブリ得意だから、行ける!」

ゴキブリが得意って、自慢して良いのか悪いのか。

ゴキブリ以外にも、アリューシャには良いところがたくさんあるというのに。

「それはどういう作戦なの?」

「言葉の通りだね。私が考えた作戦の中で、一番効果は薄いけど…一番現実的で、しかも堅実な方法」

「ほう?何すんの?」

「末端の構成員をシェルドニアに送って、ルリシヤ達の補佐をしてもらう。それだけ」

「…それだけ?」

「うん、それだけ」

何処までも、ローリスクローリターンだ。

こちらが冒す危険は少ないけど、得られる見返りもたかが知れてる。

「…何じゃそれ!そんなんじゃ全然助けてることになんないじゃん!」

「私もそう思う。でも、今は…」

「そうするしかないのよ、アリューシャ。私達が動いていることがアシミムにバレたら、ルレイアの身が危ないんだもの」

私の代わりに、アシュトーリアさんがそう説明してくれた。

「私達はルレイアを人質に取られてるのよ。その時点で、下手に動くことはもう出来ない。今は逃げてるようだけど、ルルシーやルリシヤだって、いつ捕まるか分からないわ」

「…」

そうすれば、更に人質が増えるね。

「そもそも、私達はシェルドニアに入国すら出来ない。となると…私達に出来る支援は限られるわ。それなら…余計なリスクを冒してルレイア達を脅かすより、現地にいるルルシー達が少しでも動きやすくなるよう、些細だとしても、サポートした方が良いのよ」

「…うー…」

アリューシャは、悔しそうに歯噛みしながらも、言い返しはしなかった。

アリューシャも分かっているのだ。アシュトーリアさんの言っていることが正しいと…。
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