The previous night of the world revolution4~I.D.~
その日、俺達は予定通り、ヘールシュミット邸に食料を運ぶ委託業者の敷地に忍び込んでいた。

「あ、あれだあれ。俺達が乗る白馬だぞ」

ヘールシュミット邸に出入りしているという、ひときわ大きなトラックを、ルリシヤが指差した。

「白馬って…。確かに白いけどさ…」

俺には、ただのトラックにしか見えないよ。

「とにかく、あれに乗って、段ボールに入って、ヘールシュミット邸まで運んでもらえば良いんだな?」

「そういうことだ。窮屈だが、我慢してくれ」

「大丈夫だ」

ルレイアの身をただ心配して、悶々としていることしか出来なかった頃に比べれば。

ルレイアを助けに行く為に、窮屈な思いをすることくらい、何でもない。

段ボール箱だろうがスーツケースだろうが、入ってやる。

俺達は誰の目につかないよう、こっそりの大きなトラックの荷台に入り。

大きめの段ボール箱の中に、それぞれ身を滑り込ませた。

そして、内側からしっかりと蓋をする。

成程、確かに窮屈だ。

胎児のように身体を折り畳まないといけないし、真っ暗で、息も苦しい。

荷物の積み込み作業をする業者の作業員にバレないよう、俺は息を殺した。

今だけは、俺は人間ではなく、ただの荷物だ。

10分としないうちに、不自然に折り畳んだ膝や肘が痛み始めたが。

俺は息を殺したまま、積み込みが終わるのを待った。

出荷される牛とか豚って、こんな気持ちなのかな、なんて思いながら。

やがて積み込みが終わり、ばたん、と荷台が閉められた。

そして、トラックのエンジン音が聞こえると共に、荷台に振動が伝わってきた。

どうやら彼らは、俺達に気づかず、そのまま出発するようだ。

まず、第一段階は突破だな。

俺は一安心したが、まだ計画は始まったばかり。

まだまだ気を抜くには早過ぎる。

ルレイアを取り戻すまで、一秒だって気は抜けない。
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