The previous night of the world revolution4~I.D.~
これには、ルリシヤも呆然としていた。

ルレイアだ。

ここにいるのは、間違いなくルレイアで。

でも…ルレイアではなかった。

帝国騎士団の制服みたいな、真っ白な服を着て。

二本の剣をこちらに向けるルレイアの目は、死人のように虚ろだった。

ルレイアじゃない。

この男は、ルレイアだけど、でも中身は別物だった。

そうでなければ…彼が、俺に剣を向けるものか。

「貴様っ…!ルレイアに、何をした!?」

俺はルシードに向かって吠えた。

こいつが、こいつらがルレイアを殺したのだ。

ルレイアを、ルレイアではない何者かに変えてしまった。

ルシードは何も答えずに、刀をこちらに向けた。

「ルレイアっ…。ルレイア!しっかりしろ!そいつらに、惑わされるな!」

「…」

俺は必死に、ルレイアに呼び掛けた。

ルレイアが、何らかの強引な洗脳をされていることは明らかだった。

正気ではない。正気だったら、そちら側になんていない。

「俺達は敵じゃない。お前を助けに来たんだ。約束しただろう、俺は何度でも、お前を助けると…!」

「…俺を助けてくれたのは、アシミムさんですよ」

…は?

「彼女が俺を助けてくれた。彼女が、俺の救世主なんです…」

なん…だって?

アシミム?アシミムは、お前を洗脳して、騙して…。

「そしてあなた方は、アシミムさんの敵。アシミムさんの邪魔する者」

ルレイアは左手の剣を、すらっ、とこちらに向けた。

「だから俺が倒します。あの人の敵は、俺が全部…!」

「…ルレイア…」

そうか。

どうあっても、引かないつもりだな?

俺達を…俺を…敵だと言うんだな?排除すべき対象だと。

「…分かったよ、ルレイア」

俺はふっと笑って、身体の力を抜いた。

俺はな。

お前と…戦う刃は持ってない。

「ルリシヤ…悪いんだが」

「うん?」

「俺には、もう無理だ」

「…そうか。…そう言うと思っていたよ」

ルレイアに、刃を向けなければならないのなら。

この場で、ルレイアに殺された方が、遥かにマシだ。

「ルリシヤ。お前だけでも逃げるなら、手伝うけど」

「やめてくれ。二人を置いて俺だけ逃げ出したら、俺は一生自分を許せないよ」

ルリシヤは、はぁ、と溜め息をつき。

そして、持っていたナイフを床に放った。

「降参だ、降参。投降するから、殺すのはよしてくれ」

ルリシヤが武器を捨てるなり。

いつの間にか俺達を取り囲んでいた警備兵達が、俺の腕に手錠を嵌めた。
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