The previous night of the world revolution4~I.D.~
「うん。シェルドニア古酒は相変わらず不味いが、カクテルはそこそこだな」

「…」

「フィッシュ&チップスも行けるな」

おつまみを摘まみながら、ぐびぐびとカクテルを呷るルリシヤ。

…何だ、この余裕の表情は。

「…お前、これから敵の刺客…かもしれない人物に会うんだってこと、分かってるか?」

酒飲みに来た訳じゃないんだぞ。

お前がそう簡単に酔っぱらう人間じゃないことは知ってるが、だからと言ってこんなときに飲むなよ。

「固いことを言うな、ルルシー先輩。むしろ少し飲んでおいた方が、余計な不安や心配に囚われずに済むぞ」

「…」

…そうだろうな。

ルリシヤには、何でもお見通しってことか…。

「大体バーは飲む為の場所なんだから、お冷やだけ目の前に置いて神妙な顔をしていたら、周りもびっくりするだろう」

「…分かったよ。飲むよ…。ちょっとだけな」

…なんか上手いこと乗せられているような気が、しなくもないが。

確かに、酒でも飲まないと不安で押し潰されそうになるから。

少しくらいは、飲んでおくべきなのか?

とても、酒を楽しめるような心境ではないが…。

…と、思っていると。

「…待たせましたね」

俺達のテーブルに、例の…ヘールシュミット家の警備兵をやっていた女性がやって来た。
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