The previous night of the world revolution4~I.D.~
ところで、ルルシー・エンタルーシア。

あなたにとって、ルレイア・ティシェリーは親友だそうですね。

命はおろか…己の全てと引き換えにしても惜しくない親友。

共に地獄に堕ちても、悔いはないほどの親友。

そんな親友がいるのは、どんな気持ちか…。私には分かります。

分かりますよ。私にもいましたから。

私にも、親友がいました。

彼女の名前は、シラノと言います。

シラノは私より一つ年上で、私と同じくヘールシュミット邸に仕える奴隷でした。

彼女の母親もヘールシュミット家の…ラトヴィの奴隷だったので、その娘であるシラノも奴隷でした。

一つ年上なだけなのに、シラノは私がヘールシュミット邸に来てすぐの頃から、お姉さん風を吹かせて、私の面倒を見てくれました。

家族から引き離され、異国に連れてこられて泣いてばかりいた私を慰め、励ましてくれました。

夜中でも、私が泣いているのを見つけると、傍に来て、手を握ってくれました。

とても…優しい子でした。

シラノがいてくれたから、私はこの国で…この家で、頑張ろうと思えるようになったのです。

私はアシミムの、シラノはラトヴィの奴隷で、仕事中に顔を会わせることはありませんでした。

でも、自由な時間を見つければ、私達は二人で会って、お喋りをしたり、一緒に遊んだり、キッチンからくすねてきたお菓子を食べたりしました。

とても穏やかで…幸せな時間でした。

あの頃が、私の人生の中で…一番幸せな時期だったと思います。
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