The previous night of the world revolution4~I.D.~
「…私はラトヴィを許しません。そのラトヴィを庇うアシミムを許しません。ラトヴィも、ラトヴィを助けようとするアシミムも、決して許しはしません」

前王が死に、ミレド・トレギアスが王位についたときは、心の中で喝采をあげた。

ラトヴィがミレド王に幽閉されたと聞いたときは、もっと喜んだ。

囚われのラトヴィの身を嘆き、涙を流すアシミムを見たときは、もっともっと喜んだ。

嘆け。

悲しめ。

そして苦しめ。

シラノが苦しんだ分。お母さんが苦しんだ分。私が苦しんだ分。全部味わえ。

私は、ラトヴィもアシミムも、決して許さない。

必ず復讐してやる。

その思いで、私は生きてきた。

「…ということは、お前の目的は…アシミムとラトヴィを殺すことか?」

愉快な話ではなかっただろうに、ルルシー・エンタルーシアもルリシヤ・クロータスも、顔色を変えなかった。

さすがに、肝は据わっているといったところか。

「アシミムを殺しはしません。あの女を、弟と共に死なせるなど…」

それはアシミムにとって喜びだ。あの女を喜ばせはしない。

「私はラトヴィをこの手で殺します。そして、アシミムが嘆き苦しむ様を、この目で見てやりたいんです」

「…成程。歪んだ復讐心だ」

「そうですね。で…それが何か?」

歪んでいようと、シラノが復讐を望んでいなかろうが、関係ない。

他でもない私が、復讐を望んでいるのだ。

この復讐心だけを糧に、今日まで生きてきたのだ。

「別に、責めてはいない。復讐によって生きる活力が得られるなら、復讐が悪いことだとは思わない」

「…そうですか」

復讐になど手は貸せない、と言われたら困るところだった。

まぁ、この人達はマフィアだ。

生温い綺麗事など、元々思い付かないだろう。

「つまり、君の目的はアシミムに従う振りをして、ミレド王を暗殺。その後解放されたラトヴィを、アシミムの目の前で殺す。そういうことだな?」

「えぇ、そういうことです」

「それで、そんな話を何故俺達に?」

そんなものは…決まっている。
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