The previous night of the world revolution4~I.D.~
俺の素敵な計画を話すと、華弦は戸惑い、驚き、そして難色を示した。

「気が乗りませんか?」

華弦と俺の復讐は、それぞれ区別しなくてはならない。

華弦の復讐は、アシミムの目の前でラトヴィをぶちのめすこと。

俺の復讐は、洗脳が解けていた事実をバラして、アシミムのゲロ顔を見ることである。

従って、華弦の復讐は、ミレド王を暗殺するまでお預けなのだ。

だから、俺がいくらアシミムのゲロ顔を見て高笑いしていたとしても。

華弦はその横で、笑いたくなるのを我慢して、むしろ主君を労る必要があるのだ。

そう思うと、華弦にはちょっと酷か。

「我慢出来ないなら、一緒に高笑いしても良いですよ。アシミムへの復讐心がバレたとしても、後でラトヴィを殺せばアシミムが苦しむことには変わりないですし」

明日俺がアシミムを泣かせるのと、後日アシミムの目の前でラトヴィをぶち殺すのは、別の復讐だからな。

二度美味しいって奴だ。

しかし。

「いいえ。私の裏切りは、出来るだけ最後まで隠しておきたいですから」

「ふむ…成程」

美味しいものは、摘まみ食いせず最後まで取っておくタイプだな、君。

うん。良いと思うよ。

極上の味を楽しむには、お腹が空くまで我慢をしないとな。

「分かりました。では、あなたは相変わらず演技を続けてください」

「はい」

まぁ華弦は、俺と違って、洗脳なしでアシミムに信用されてるからな。

俺のように、再び洗脳されることに怯えている訳じゃない。

なら、華弦の復讐はもう少し待ってもらうとしようか。

「…それよりも、ルレイア・ティシェリー」

「ルレイアで良いですよ」

華弦は復讐仲間だからな。

「では、ルレイア。明日アシミムのゲロ顔を見るのは良いとして…」

ゲロって言っちゃうんだ、君。

アシミムに対しては礼儀もへったくれもないな。

「ルシードはどうするつもりです。あなたの洗脳が解けたと知れば、ルシードはあなたを殺そうとするのではないですか」

「…あー…」

ルシード…。

…そういえばいたね、そんなの。
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