The previous night of the world revolution4~I.D.~
俺のことが、どうも気に食わないらしいルシード。

多分、俺がアシミムに重宝されてることが腹立たしいんだろうな。

お子様だお子様。「今までは俺がアシミムさんの一番だったのに~」とか思ってんだ。

あんないかにも頭悪そうな縦ロールしてる奴に大事にされるのが、そんなに嬉しいか?

キモいだけじゃないか。

近寄ると縦ロール感染りそう。あーキモいキモい。

でもあれでルシード、実力はそこそこあるのだ。

それだけは、俺も評価しなくてはならない。

過小評価して良い相手ではない。それは確かだ。

そして、俺の洗脳が解けたと知れば、間違いなくルシードは俺の命を狙うだろう。

向こうも俺を相手にするなら、もう生け捕りにしようとは思わないだろうな。

ルシードとの殺し合いになることは避けられない…か。

まぁルシードがいかに強くても、負けてやるつもりはないが…。

「この屋敷には、以前あなたを洗脳した際に使った、音響波を出すあの装置があります。あれを再び使われたら…」

「うわぁ…。思い出したくない記憶…」

あれをまた使われるのは…嫌だな。さすがに。

「あの装置のスイッチを握っているのは、この屋敷でもアシミムとルシードだけです。私でさえ、用事がなければ触れることさえ出来ません」

「ふむ…」

それだけ、アシミムにとっては大事なものなのだろう。

そんなに洗脳したいなら、まず自分がされろ。

「何とかあの装置…壊してみましょうか?私が忍び込んで…」

「いえ…。そんな危険を冒す必要はありませんよ」

気持ちは嬉しいけれど。

下手なことをして、華弦の裏切りがアシミムにバレたら申し訳ない。

だから。

「代わりといっては何ですが、あなたは明日、ルルシーとルリシヤを屋敷の中に入れる手引きをしてもらいたい」

「…あの二人も、ここに?」

「一人より二人、二人より三人でアシミムのゲロ顔鑑賞した方が、楽しいと思いません?」

俺は、にっこりと笑ってそう聞いた。

ルルシーだったら、悪趣味な奴だ、とか呆れたように言うのだろうけど。

華弦は、真顔で頷いた。

「えぇ。その通りですね」

「…うふふ」

君達、姉妹揃って話が分かるね。

そういう人は大好きだよ、俺。
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