The previous night of the world revolution4~I.D.~
さて、これでルシードは無力化した。

「…あれあれ。ボッチになりましたねぇ、アシミムお嬢様?」

「…っ…」

見た目からして明らかだが。

アシミムに戦闘能力は皆無だ。こいつか殺せるのは、精々ハエの一匹程度だろう。

自分の身を守ることは、全てルシードに任せていたらしいな。

だからルシードがいなくなった途端、アシミムの身を守るものは何もない。

実に貧弱な女だ。

「あ、主よ…!どうか、逃げて…」

床に這いつくばりながらも、ルシードはアシミムに逃げるように促した。

律儀な奴だな、こいつも…。

アシミムなんか見限ってしまえば良いのに。こいつの実力なら、働き口には困るまい。

一体何が、こいつにここまでさせるのかなぁ。

「…!」

逃げるように言われたところで、アシミムは腰が抜けて動けない。

本職のマフィア三人から殺気を向けられていたら、そりゃ腰も抜けるだろう。

良い感じのゲロ顔をありがとう。

「…では、罪を償って頂きましょうか」

俺はアシミムの目の前を、剣を振り上げた。



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