The previous night of the world revolution4~I.D.~
アドルファスの方も、それが賢明、とばかりに頷き。

「そりゃどうも。出来ればシェルドニア王国の洗脳システムとやらについて、詳しい報告を…」

「ハムスターランド行こうルレイア」

「お前は黙ってろ」

後ろからにゅっ、と顔を出すオルタンス。

何なんだこいつの執念は。

「…詳しい報告をもらえると助かるんだけどな」

「あぁ…はい。後日郵送しますよ」

「ハムスター…。ハムスターランドに…」

「ハムハムうるせぇ。黙ってろ」

アドルファスが大層苦労してるんだなってことが分かった。

こいつ、俺がいない間ずっとハムハム言ってたんだろうな。

そういえば、もとはと言えばこいつが俺に、ハムスターランドのチケットなんてものを渡したから、こんなことになったんだよな。

あれ?一周回って、犯人はオルタンスなのでは?

…まぁ、オルタンスがチケットを送ってこなかったとしても、ルシードは何らかの手段で俺達に『ホワイト・ドリーム号』のチケットを送りつけてきたのだろうから、オルタンスを責めても意味はないが。

「…とにかく。お前がミレド王を排除してくれたお陰で、ルティス帝国との全面戦争は回避出来た。その点では、ルレイア。お前に礼を言わないとな」

「やめてくださいよ、気持ち悪い。俺はムカつくアシミムをぶっ飛ばしたかっただけです」

オルタンスほどじゃないが、それでも帝国騎士団の人間に礼を言われるなど、気色悪くて仕方がない。

「…それでも、だ。ありがとう…ルレイア」

…ルシェに言われると、もっと気持ち悪い。

あーやだやだ。

「改めて、一緒にハムスターランドに行こう」

で、ハムハム言いながらハムスターランドのチケットを差し出すオルタンスは、更に気持ち悪い。

「…心底キモいので、早いところ連れて帰ってくれません?こいつ…」

「済まんな…。俺達も気持ち悪いからどうにかしたいんだ…。ほらオルタンス、もう帰るぞ。ルレイアの顔も見たんだから満足しただろ」

「でもまだハムスターランドの約束が、」

「アホ抜かせ。俺達がマフィアの本部に来てるってこと自体、不味いんだぞ。長居は無用だ」

…賢明な判断だ。

ハムハムと抵抗するオルタンスを、アドルファスとルーシッドが無理矢理連れ帰った。

ルシェも、俺に一瞥をくれて、満足そうに帰っていった。

…騒がしい奴らだよ。
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