The previous night of the world revolution4~I.D.~
オルタンス達が帰った後。

俺達幹部組は、ルルシーの執務室に集まっていた。







「はー…。なんか、帰ってきたって感じですね~」

「あぁ…帰ってきたって感じだな…」

「えへへ。ルレイア達が帰ってきてくれて、嬉しい」

「本当。平和が一番だよね~」

「…zzz…」

「…」

俺、ルリシヤ、シュノさん、アイズ、アリューシャ、ルルシーの順である。

幹部組、久々の勢揃い。

アイズレンシアの言う通り。平和が一番だな~。

それなのに、ルルシーは。

「…何でお前ら、示し合わせたかのように俺の部屋に集まるんだ。帰れ。あとアリューシャは起きろ!」

アリューシャが眠っているソファに向かって怒鳴るルルシー。

だが、アイズがそれを止めた。

「ちょっとルルシー、アリューシャを起こさないで。君達がいない間、アリューシャはずっと眠れない昼を過ごしたんだよ?」

「え、あ、そうなのか?それは悪かっ…え?昼なら良いじゃん」

アリューシャにとってはあれだから。昼寝は…日常だから。

誰だって日常を奪われると、調子を崩すだろう。

俺だってそうだ。

「平和になったのは良いことです…。でも、何かが足りないと思いませんか?」

「あぁ。俺もそう思う」

ルリシヤも同意。さすがは分かってる男。

俺達の平和の象徴、あれが抜けてるよな?

あれをしないことには、平和が戻ってきたとは言えない。

「あ…?何だよ、足りないものって」

きょとんとするルルシー。

ルルシーには分からないらしいな?

宜しい。ならば教えてしんぜよう。

「ルルご飯ですよ!ルルシーお手製の夕飯をご馳走にならないことには、日常に戻ってきた気がしません!」

「その通りだルレイア先輩」

「確かに…長らく食べてないね」

うんうん、と頷くアイズ。彼も分かってる男だ。

「はぁっ!?お前ら、何を勝手な…!」

抗議しかけたルルシーだが、そんなルルシーの肩を、シュノさんがポン、と叩いた。

「大丈夫よルルシー。私、ルレイア達がいない間にマッシュポテトの作り方を覚えたのよ。任せて」

久々に腕を奮える、と意気込むシュノさん。

さすがである。

「楽しみですね~。シュノさんのご飯も久し振りですね」

「えへへ…」

「いや、えへへは良いけど…何で俺が飯を…」

「へい!ルル公!アリューシャあれ食べたい。ブス蹴った!って奴」

「あ?」

アリューシャがいつの間にか起きてる。

夕飯の話を聞き付けたな?さては。

「何だよブス蹴った、って…」

ブスに人権ナシって?

だが、こんなときでもアイズはアリューシャ語を解してくれたようで。

「あぁ、ブルスケッタのことだね?」

「おぉ、そう!それそれ!アリューシャそれ食べたい。ルル公作ってー」

「何で俺が…」

「まぁまぁ、良いじゃないか。久々の再会を祝って、今夜は祝杯をあげよう。良いワインを持参するよ」

と、アイズ。

さっすが~。良いね。

「良い考えだ。俺も作るよ、ルルシー先輩」

「いや、いい加減俺の家で飯をタカるのやめ…」

「じゃあ俺は、シェルドニア土産のケーキを持っていきましょう」

シェルドニアの空港で買ってきたんだ。お土産。

折角皆で集まるのなら、一緒に食べよう。

「なら、アリューシャは味見係な!」

いつもの分担だな。

しかし、おこなルルシーはこう反論。

「何か味見だ。実質何もしてねぇだろ!」

それを言っちゃおしまいじゃん。ねぇ?

「失敬な!アリューシャはな、味見検定一級の、味見マスターだぞ!」

「何だよ味見検定って!」

「まぁまぁルルシー。良いじゃないですか」

こんなやり取りが出来るのも、俺達が平穏を取り戻したからこそ。

それを喜ぼうではないか。

「…はぁ」

ルルシーは、溜め息一つで全てを諦めていた。

うんうん。それが賢明だよ。
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