The previous night of the world revolution4~I.D.~
お雑煮を食べ終えた後。

俺達は、初日の出を見る為に家を出た。

帝都の小高い山にある展望台で、帝都の隠れた初日の出スポットとして噂になっているらしい。

「フューニャ、寒くないか?」

「平気です」

真冬の夜明け前と来たら、寒いのは当然。

マフラーに手袋に厚手のコート、それに耳当てをつけて、もこもこなフューニャである。

とても可愛い。

俺も相当厚着をしてきたが、それでもやっぱり寒い。

それに。

「結構人多いな…」

こんなに寒いのに、よく人が集まるもんだ。

いても五、六人かなと思ってたのに。

軽くその十倍はいるぞ。

俺が疎いだけで、意外に初日の出見に来る人いるんだな。

「フューニャ。向こうの方がよく見え…る…」

「…」

振り向くと、フューニャは隅っこの方に行って、何やらこそこそと魔法陣らしきものを錬成していた。

…何だあれ。

「…それ何?」

「大丈夫です。ただののろ…いえ。おまじないです」

今、呪いって言いかけなかった?

別にフューニャが何をしても構わないけど…。

「…あ、日の出…」

周囲がざわつき始め、カメラや携帯を構え始めた。

いよいよ、初日の出の瞬間だ。

初日の出なんて、初めてだ。

へぇ、意外と綺麗なものじゃないか…。寒い思いして見に来る人がこんなにいるのも、頷け…、

「…!?」

フューニャは魔法陣に向かって、何やら怪しげな呪文をぶつぶつと呟いていた。

…フューニャさん。あなた何を…?

「あの…。フューニャ…?」

日の出…見てる?

あの…。初日の出…。

「…」

「…フューニャさん…?」

「…はい。何ですか?」

「初日の出…」

「えぇ、見てますよ。綺麗ですね」

…あ、うん。

良かった。ちゃんと見てるみたいだ。

折角来たんだから、楽しまないとな。
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